鹿児島県の老舗百貨店「山形屋」は10日、業績悪化を受けて私的整理の一つ「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」を申請したと発表した。主力行の鹿児島銀行など金融機関から事業再生計画案への同意を得たうえで、事業を続けながら経営再建をめざす。

 山形屋は1751年に現在の山形県で創業。百貨店事業を柱に鹿児島、宮崎両県で企業群を形成してきた。建物の耐震工事などの設備投資をした直後に新型コロナの感染拡大を受け、山形屋単体の2021年2月期決算で11億9千万円の当期純損失を計上するなど赤字経営が続いていた。

 このため、山形屋や宮崎山形屋(宮崎市)など計17社は昨年12月、債権者の協力を得ながら再建を進める事業再生ADRを申請した。17社合計の2023年2月期の売上高は約740億円で、有利子負債は約360億円に上るという。(冨田悦央)