相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で利用者や職員45人を殺傷したとして、殺人などの罪に問われた植松聖(さとし)被告(29)に対する公判が15日、横浜地裁で始まった。青沼潔裁判長は匿名で「甲A」と呼んできた被害者について、法廷での呼称を「美帆さん」と変更すると述べた。遺族は「美帆という名前がある。甲さんと呼ばれることは納得いきません」と訴えていた。

 青沼裁判長は審理の冒頭で、遺族側からの要望を受けて、呼称を変更すると説明。検察側と弁護側に対し、「依然として氏名(実名)ではなく呼称であり、被害者が特定されないよう注意されたい」と求めた。

 今回の公判では、障害者に対する差別を心配するなどした被害者や家族の大半が、匿名での審理を希望。犠牲者は「甲A」「甲B」などと呼んで審理が進められてきた。遺族代理人によると、母親は公判を前に、法廷で「美帆」と呼ぶように求めていたが、フルネームか匿名しか認められなかったという。

 植松被告の起訴内容は、2016年7月26日未明、やまゆり園に侵入し、職員を縛ったうえで重度障害者の首を刺すなどして利用者19人を殺害し、職員を含む26人に重軽傷を負わせたなどというもの。(山下寛久、神宮司実玲)