2019年に関税法違反で摘発された覚醒剤の密輸事件は前年比約2・5倍の425件、押収量も同約2・2倍の2570キログラムだった。比較可能な1985年以降で過去最多だった摘発件数(11年の185件)、押収量(16年の1501キログラム)を、いずれも大幅に上回った。財務省が12日、発表した。

 19年に押収された覚醒剤は末端価格で1542億円。薬物乱用者の通常の使用量で8566万回分に相当するという。急激に押収量が増えたのは、昨年6月に静岡県南伊豆町の海岸で約1トン、昨年12月に熊本県天草市の港で約587キログラムの取引を摘発したからだ。いずれも洋上取引の手法がとられていた。

 航空機旅客の持ち込みが前年比約2・5倍の229件、航空貨物を使った件数が同約8・2倍の107件と伸びが目立った。押収量は4年連続で1トンを超えており、財務省の担当者は「取り締まりの強化で増えた面もあるが、(過去に摘発された分の)穴を埋めるべく立て続けに送ってきている」と分析する。

 また、金の密輸は摘発件数が前年比94%減の61件、押収量が同84%減の319キログラムと大きく減った。消費税を払わずに密輸し、国内で消費税を上乗せした値段で転売して利ざやを得る手口が急増したことで、財務省が水際対策を強化していた。ただ、昨年10月の消費増税後は再び増加に転じているという。(岩沢志気)