日立製作所に勤める課長職の50代男性が違法な「退職強要」を受けたなどとして、同社に272万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、横浜地裁であった。上司からの複数回にわたる退職勧奨について、新谷晋司裁判長は「意思を不当に抑圧して精神的苦痛を与えるもの」として違法性を認め、慰謝料20万円の支払いを命じた。

 判決などによると、男性は1988年に入社し、2012年から横浜市内の事業所でソフトウェアの売り上げ管理などを担当していた。16年8〜12月、事業モデルの転換と今後のキャリアについて上司と面談を8回重ね、上司から「能力をいかせる仕事はないとずっと言い続けている」「仕事がないのに、できないのに高い給料だけもらっているって、おかしいよね」などと言われ、退職を勧められた。

 判決は上司の発言について「自尊心をことさら傷つけ、困惑させる言動」だとし、退職以外に選択肢がない印象を抱かせたと指摘。男性が退職の意向はないと明言した後も面談を重ね、考え直すよう求めた点も問題視した。

 男性側は、退職勧奨が始まった16年度から不当に評価が下げられているとして、その影響で減額された賃金の支払いも求めていたが、判決は「相応の理由がある」などとして退けた。

 提訴は18年4月。男性は判決後の記者会見で「将来が不安なのがつらい。給料や賞与を減らされている。この部分も裁判で勝ち取らないといけない」と述べ、賃金の減額分の支払いを求めて控訴する意向を示した。日立は「判決内容を精査し、今後の対応を検討する」(広報)としている。(内藤尚志)