洪水で浸水のおそれがある区域の指定が必要とされる全国約8千の中小河川のうち、半数超が未指定のままであることが朝日新聞の取材でわかった。一昨年の西日本豪雨や昨年の台風19号では、中小河川の氾濫(はんらん)による大規模浸水の被害が目立ち、対策は急務となっている。

 水害への備えを定めた水防法は、流域面積が広い約400の「洪水予報河川」と約1700の「水位周知河川」で、洪水時に水につかるおそれがある浸水想定区域を指定するよう国や都道府県に義務づけている。残る中小規模の河川は都道府県が管理する「その他河川」と呼ばれ、指定の義務はない。

 だが、昨年の台風19号では、決壊した71河川のうち、6割にあたる宮城県丸森町などの43河川が「その他河川」だった。一昨年の西日本豪雨では、岡山県倉敷市真備町で本流のほか「その他河川」の3支流が決壊し、51人が死亡するなど近年、被害が相次いでいる。このため、周辺に民家や施設がある場合などは都道府県の判断で指定している。

 朝日新聞は今月、47都道府県に5月末時点の「その他河川」の状況についてアンケートを実施し、すべてから回答を得た。

 それによると、5月末時点で「その他河川」は全国に1万9510あり、浸水想定区域の指定が必要と都道府県が判断したものは40・9%の7977。だが、このうち52・7%の4206では、浸水想定区域の指定ができていなかった。

 進まない理由は、指定が義務となっている「水位周知河川」を優先していることや予算不足などが挙がった。15県が指定の必要な河川を「検討中」「調査中」などと回答しており、指定が必要な河川数は大きく膨らむ可能性がある。