新型コロナウイルスの感染者として、福島県と自治体が発表した82人のうち少なくとも4人について、実際には感染していなかったのではとの見方が医療関係者らから出ている。「感染者」が利用していた事業所は収入が減り、周囲の人が休職を求められたといった影響も出ており、関係者はPCR検査の慎重な運用を求めている。

 こうした見方について、県の担当者は「この4人に限らず、一例一例が本当に感染していたのか、これから検証することは考えていない」としている。

 新型コロナへの感染の有無を調べるPCR検査は、感染していないのに陽性と判定される「偽陽性(ぎようせい)」が起こりうる。空気中に浮遊したり手についたりしたウイルスが鼻について検体として採取された場合や、検査する際に別の検体がまじるなどして起こるとされる。

 医療関係者らが偽陽性の可能性を主張しているのは、県と郡山市が5月3日〜8日に感染者として発表した古殿町の90代女性▽田村市のこども園の女児▽郡山市の60代男性▽宇都宮市の30代男性医師。

 主張の根拠は、いずれも濃厚接触者らを検査するなどしたが、周囲に感染者を確認できなかったことや、入院期間の短さだ。当時は24時間の間隔をあけた2回の検査で連続陰性になることなどが退院基準だった。県内で感染者として発表された人の入院期間は平均23日だが、この4人は3〜8日。比較的早い段階で陰性の結果が出たとみられる。

 県などによると、古殿町の女性をのぞく3人は発熱など新型コロナに特徴的な症状はなかった。