中国を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、中国人と台湾人の父母の間に生まれた子どもの台湾への入境を認めるべきか、台湾で論争になっている。台湾当局は当初、台湾籍か中国籍かを問わず入境を認める考えだったが、世論に配慮して中国籍の子どもの訪台を認めない方針に転じた。

 中台のカップルの子どもが中国側で生まれた場合、台湾籍を得るには出生から1年以内に台湾側への届け出が必要になる。届け出ずに中国籍となった子供について、台湾の対中政策を担う行政院大陸委員会は11日の段階では、あらかじめ中台間を往来する許可証などを取得している場合は人道的に入境を認める方針を示した。

 だが、中国側が台湾周辺で行った爆撃機の訓練や、中国の圧力で世界保健機関(WHO)から台湾が締め出されている問題が注目された時期と重なり、台湾社会では「台湾籍を選ばなかった子を受け入れる必要はない」との反発が出た。

 大陸委は同日夜、「中国側に頼れる親族のない未成年に限る」と受け入れ枠を絞ることで理解を求めたが、不満は収まらず12日に入境禁止を決めた。

 この間、大陸委や蔡英文(ツァイインウェン)総統のフェイスブックには計1万件を超す「入境反対」の訴えが書き込まれた一方、わずかながら「中国に仕返しをするような感情的な反発はよくない」といった声も投稿された。最終的に入境禁止に踏み切った蔡氏は「防疫を優先した判断だ」とフェイスブックに記した。(台北=西本秀)