ホンダF1浅木泰昭PU開発責任者インタビュー:メルセデスを目標に開発されたスペック4。「鈴鹿でも十分戦えるが、まだ伸び代はある」

ホンダF1浅木泰昭PU開発責任者インタビュー:メルセデスを目標に開発されたスペック4。「鈴鹿でも十分戦えるが、まだ伸び代はある」

 ホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)の開発指揮を執る浅木泰昭HRD Sakura(栃木県の本田技術研究所)センター長が、先週のイタリアGPを訪れていた。最新スペック4のコース上での性能確認のためだったが、予選Q3が渋滞でまともなアタックができなかったこともあって、相対的な性能差の分析は難しいとのことだった。

 とはいえスペック4の潜在能力には自信を持っており、年初に設定した「今年中にメルセデスに追い付くという目標」に関しても、「可能性はある」と語っていた。

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――最新版スペック4の開発の肝はなんでしょう?
浅木泰昭センター長(以下、浅木センター長):秘密です(笑)。

――これまでのスペック3は、ホンダジェットの知見を入れて、主にターボチャージャーの性能向上を目指したとのことでした。
浅木センター長:スペック3では、新たな燃焼の方向性も見つけていたんですね。そこからは、出したこともない馬力を出して、壊れたことのないところも壊れ出して、苦労しながら耐久性にもめどをつけた。それを進化させたのが今回のスペック4ですが、まだしゃぶり尽くしてないですね。なので、4で終わりではないです。

――今シーズンのスペック投入がということですか?
浅木センター長:いえいえ、時期の話は別にして、燃焼分野でまだ伸び代はあるということです。

――スペック2は信頼性重視だったと思います。それがスペック3で、性能が一段階上がりました。今回のスペック4はどの部分の向上でしょうか。
浅木センター長:スペック3は高地対策も含めて、ターボに手を入れました。今回のスペック4では、内燃機関(ICE)のパワーアップですね。もちろんターボとICEはあくまで、セットになってるわけですが。

――このまま行けば、日本GPはこの仕様で戦うことになりますか。
浅木センター長:そうですね。車体側の競争力も出てきましたし、鈴鹿でも十分戦えると思っています。ただ本当の勝負は来年だと思っていますから、そこに向けて準備をしていきたいです。


――去年までのレッドブルは鈴鹿でコンスタントに表彰台に上がっていますが、優勝はできていません。今年はその部分、もう少し楽観的ですか?
浅木センター長:楽観的になれるかどうかは、そこまでのレースを見てからですね。相手がいての話ですし、彼らも進化していますから。ただ今年初めに据えたターゲットの出力は、出せていると思います。

――スパ(・フランコルシャン)ではフェラーリやメルセデスも新しいスペックを投入しましたが、次々に壊れていました。
浅木センター長:あれは、どうしたんでしょうねえ。驚きました。そんなことがあるんだと。

――ライバルと比較して、スペック4では追い付けている手応えは感じていますか?
浅木センター長:そうあってほしいですが、今回の結果だけではなかなか分析も難しいですね。もう少し様子を見て、判断したいと思います。もちろん期待はしていますが。

――それだけのポテンシャルがありますか。
浅木センター長:パワーユニット単体で、メルセデスに今年中に追い付くことが、年初の目標でした。それが果たして、できているかどうか。

――そう思えるところまでは、来ていますか?
浅木センター長:可能性はあると思っています。

――メルセデスに追い付くという目標は、去年までからすれば凄い目標だと思います。
浅木センター長:メルセデス、フェラーリに追い付くというのは、目標としてずっとやって来ました。ただ具体的な数字として、彼らのシーズン中の伸び代を読んで、われわれが追い付ける可能性があるなと思ったのは、今シーズンが初めてですね。

――スペック3を出した辺りで、行けるなと思いましたか?
浅木センター長:いやそうではなく、今シーズンが始まる前にそう読んで、2、3、4の投入計画を立てたということです。そしてライバルたちの伸び代が、年率これぐらいだろうと読んだ。過去の伸び代から、推測してね。だったらうちがこれぐらい出せば、追い付いてもおかしくない。その辺を、具体的なターゲットにしました。

――今のパッケージの戦闘力からすれば、今後最終戦までにあと何勝かできる可能性はありますか?
浅木センター長:コースの得手不得手は3メーカーそれぞれありますけど、われわれも勝ってもおかしくないコースはあるでしょうね。

――そのうちのひとつに、鈴鹿も入っていますか?
浅木センター長:ホンダとしては、そこでいい成果を出したい。それを目標にやっています。

――大得意ではないとはいえ、まったくダメでもない。
浅木センター長:そうですね。パワーさえ近くまで出せれば、車体はいいですから勝ってもおかしくないです。ただ相手がそこまでに、どれだけ伸びるかですね。彼らの新スペックが思ったより伸びていると、苦しいですね。

――レッドブルからの一番のリクエストは何かありますか?
浅木センター長:前半に一番言われていたのは、予選のパフォーマンスですね。予選一発を、何とかしてくれと。最近はスタート失敗ですね。それはいっしょに解決してくれと言っていますが(笑)。そこは共通認識というか、同じ思いでいます。


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