2月7日から9日にかけて、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われたMotoGPの公式テストを、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は総合23番手で終えた。2019年に手術を受けた右肩の状態は、そして3日間のテストはどのような状況だったのだろう。

 2019年シーズンの終盤3戦を欠場した中上は、オランダGPの転倒で痛めた右肩の手術を10月末に受けて、オフシーズン中はリハビリと回復に励んできた。2020年シーズンに向けたバレンシア、ヘレスでのテストもキャンセル。今回セパンで迎えたテストで、日本GP以来、実に4カ月ぶりにMotoGPマシンで走行した。

 ただ、右肩の状態は中上に思うようなライディングをさせてはくれなかった。2020年シーズンを戦う2019年型ホンダRC213Vで記録したタイムは1分59秒860で、3日間の総合結果は23番手。トップのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)からは約1.5秒差、自身が2019年のセパンテストで記録したベストタイム1分59秒148と比較しても約0.7秒の差がある。

 2日目からは痛み止めを服用したが、痛みもライディングに影響した。「今回は60パーセントに届かないくらいの状態」。そうしたなかで、中上はタイムアタックはせずに短い周回数を刻むことに集中したという。「3日間をとおして、想定していた最低の状態に近い形になってしまいました」と、テストを終えた本人が語るように状況は楽観的ではない。

 前述のように、中上はバレンシア、ヘレスのテストに参加していない。そのため、中上が2020年シーズンに向けて参加するテストは、このセパンと2月下旬に行われるカタールの2回のみだ。2019年バレンシアGPを来訪していた中上は、他のライダーよりも少ないテストで2020年シーズンの準備をしなければならないことに触れていた。しかし実際には、3日間をとおした2019年型ホンダRC213Vのインプレッションも、身体の状態が万全ではないために「その判断をするのは難しい」と語るにとどまっている。

 それでも、2日目と3日目は目標としていた50周近くを周回。テスト終了時刻の18時近くまで走行を行い、「これはやっておきたい」パーツテストは、ほぼ実施できたという。厳しい状態のなか、少しでも前進することができたのは光明だろう。

 中上はほぼひと月後に控えた開幕戦カタールGPを見据え、「次のカタールテストまでに、まずは自分の肩の状況をよくして、もう少し普通のライディングがしたい」と話す。

「今回は60パーセントに届かないくらいの状態でしたが、(カタールテストでは)せめて80パーセントくらいにはしたいですね。開幕戦(カタールGP)で100パーセントの状態にするには、カタールテストでそれくらいにもっていかないといけないと思っています」

 厳しいシーズンインとなった2020年だが、実はセパンのテスト最終日、2月9日は中上の28歳の誕生日。「朝、お祝いをしたんですよ」と、はにかむ。28歳の年は、MotoGP参戦3年目。より結果を求められるシーズンだ。

「2019年は安定してトップ10というのが目標でした。2020年はマシンのポテンシャルもあると思うので、ひとつ段階を上げていくのが目標。常にトップ6をねらいたいと思います。実際にマルク(・マルケス)が2019年シーズンに400ポイント以上を獲得した実績あるバイクなので、うまく活用したいです。常にトップ6にいないとチャンスのときに表彰台を獲得するのは難しいですから、そういう位置にいたいですね」

 定めた「ひとつ上の目標」を実現するためにも、次のカタールテストでいかに右肩の状態を取り戻しながら、開幕に向けた準備を整えるのかが大きなポイントとなる。