2021年のWorldRX世界ラリークロス選手権のサポートカテゴリーとして、シリーズの“ステップアップラダー”を担う新たな電動選手権『FIA eRX2 Championship』が正式に発足。スペインのEV専門企業のQEVテクノロジーズ、ラリークロス界の名門コンストラクターであるオルスバーグMSE、そして現在はRX2シリーズの運営に携わるRXプロモーションが合弁会社を立ち上げ、シリーズ運営とプロモートをWorldRX同様のIMGが担当することが発表された。

 昨年10月に競争入札を終えて電動パワートレインのサプライヤーが決定していたこの新EVワンメイク・シリーズは、前身となるRXライツと同様に電動ラリークロスの最高峰となる『Projekt E(プロジェクトE)』へのステップアップや、文字どおりの世界最高峰クラスであるWorldRXスーパーカーのドライブを目指す、若いドライバーたちの育成カテゴリーとして創設される。

 この育成分野の電動化に向けパワートレインを供給するQEVテクノロジーズは、2014/15年シーズンに初のフォーミュラE選手権タイトルを獲得したネルソン・ピケJr.擁するNEXTEVチームの技術サポートを担当しており、直近では2021年開幕の電動オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』への参戦を計画するなど、電動パワートレインの設計と製造、充電インフラストラクチャーの設置まで、電気自動車分野で成功した歴史を誇っている。

 このeRX2シリーズでは“アライブ&ドライブ”のコンセプトが採用され、250kW(335bhp)を発生するモーターと32kWhバッテリーを採用する共通パワートレインを、この9カ月で開発された専用スペースフレームシャシーに搭載する。

■最初のシーズンは欧州内で6戦を予定

 この専用フレームは、オルスバーグMSEが製作した既存のRX2シャシーをベースに、現状はプロトタイプとなるコンポジットシェルを架装。安全性が充分にテストされたバッテリーは、車体中央に座るドライバーの左右に振り分け搭載され、理想的な50:50の重量配分を確保している。

 前後アクスルに搭載されたモーター/インバーターで4輪を駆動し、最長25分間の全開走行が可能。週末のレースではセッション間に20分の充電が推奨される。最終仕様は2020年末に向けて正式発表される計画で、『FIA eRX2 Championship』最初のシーズンはヨーロッパ域内で6戦のイベントを計画。その暫定カレンダーもまもなくリリースされる予定だ。

 QEVテクノロジーズ社のCOOを務めるジョアン・オルスは「ラリークロスは電気自動車にとって理想的な分野である」との持論を改めて強調した。

「2019年10月に入札で供給権を獲得して以来、我々のチームは新しいeRX2マシンの開発に精力的に取り組んできた。最大トルクを迅速に供給可能なEVの特性により、現在の内燃機関RX2車両より速くなるだけでなく、限界域でのドライブがより難しくなるだろう。これはより高性能なマシンをドライブするステップアップ候補者には重要な要素になる」と続けるオルスCOO。

「eRX2マシンについて私がもっとも気に入っている点のひとつは、トルク配分からブレーキバイアスまで、ドライバーが違いを生むすべてのパラメータが緻密に調整可能な点だ。これはエンジン車のままでは難しい制御でもある」

「レース中に任意でパフォーマンスを調整でき、150km/h以上の速度でサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げながらドリフトコントロールをすることで、そのドライバーのスキルセットと技術的理解を真に実感し、把握することが可能となるだろう」