スーパーカブってメンテナンス性高いので、タイヤ交換の士気もかなり低いんですよね。でも我流だとなかなか失敗も多いので、オフロードパーツメーカーの[ダートフリーク]さんで基本のタイヤ交換を教えてもらってきたよ。あと、インシュロックやタイラップとか呼ばれる、いわゆる結束バンドでのタイヤ装着も試してみた。
まずはタイヤ交換に必要なものとあると便利なもの。
●タイヤレバー
まずはこれがないとはじまらない。メーカーや用途によって使い勝手が結構違うんだけど、先のスプーンの角度が浅くて薄いのが初心者向け。とはいえ、タイヤの種類や用途、その人のやり方とかでも変わるのでなかなか正解は難しいんだけどね。
[PROタイヤレバー]
このPROタイヤレバーはかなりオススメ。薄くてカーブも緩いので、へたくそな若林でもかなりスムーズに交換できた。あと230mmモデルは約125gとかなり軽い。
3本あると便利だけど、後述のビードキーパーがあれば2本でも大丈夫。達人はビードキーパーとタイヤレバー1本ずつでもいけるかもしれない。
ちなみにツーリングにもっていくなら、メガネレンチを兼ねたものが非常に便利。スーパーカブなら、17mmか22mmが良さげ。というか、23mmがあれば最高なんだけどな。なんせ23mmのソケットもレンチも実に重い…。
[PROタイヤレバー レンチ付き]
●ビードクリーム
地味に必須ですよね。塗っておくと作業効率が段違い。上手な人ほどしっかりとビードクリームを使うイメージ。使い方のコツは「ビードの表裏両方にちゃんと塗ること」。
[ビードクリーム]
●ビードリフター
自分は存在を知らなかった。これ、意外と渋いアイテムじゃないかな。タイヤのビードをぐいっと持ち上げる道具。それだけの話なんだけど、めちゃめちゃ重宝するぞ。即購入した。
タイヤはめてチューブ入れるときにバルブ部分がきつくて手をケガして萎えた人、たくさんいると思うのよ。わしもその口。そんなストレスを完全に解消してくれるの。
タイヤ交換するならマストバイ。
[ビードリフター]
●エアバルブプーラー
これまた渋めのアイテムだけど、とんでもなくお役立ちなアイテム。タイヤ組付け時にバルブを引っ張り出すのが本来の使い方。一度使ったら手放せないぞ。虫回しにもなってるので、一粒で二度美味しい。
これもタイヤ交換するならマストバイ。もちろん即購入した。
[エアバルブプーラー]
●ムシ回し
いわゆるひとつの虫回し。小さい道具だけど、代用も効かなないので、無いと困るのよね。工具箱にひとつは忍ばせておきたいですな。安いし。
[エアバルブコアドライバー]
虫回しって小さいので、どこいったかわからなくなることありますよね。そこで、虫回し付バルブキャップ。これなら失くさないぞ。
[ムシ回し付きエアバルブキャップ]
●ビードキーパー
タイヤを装着する際にリムにはめたビードが外れるのを防止する便利アイテム。スポークを引っ掛けるようにして使うのだ。スーパーカブでは必須とまではいかないけど、ビードの硬いタイヤやモトクロスタイヤなんかの装着では、効果絶大。
[ビードキーパー]
●エアゲージ
タイヤ交換したら空気圧チェックしないとね。で、このG101エアゲージは、95gとコンパクトなくせに減圧調整ボタンもついてる優れもの。あとチャックの角度が90度なのも、使いやすくて良い。オススメ。
[G101 エアゲージ]
低圧タイプのG102は、オフロード走行で便利。
●空気入れ
空気入れはもちろん必須。F501はハイボリューム仕様なので、ぐいぐい空気が入って気持ち良いぞ。チャックはバイクに最適と個人的に思ってる90度仕様。マイクロアジャストボタン搭載で、減圧もできるぞ。
[F501 フロアポンプ]
●リムテープ
タイヤ交換時には、ほとんどの場合リムバンドも同時交換すると思うんですよ。そこでリムテープ。貼り付けるタイプのチューブ保護で、使い方はリムバンドとほぼ一緒。ちなみに後で検証するけど、こう見えてちゃんと厚みがあるぞ。
5m巻きなので相当量使える。しかもリムバンドの買い忘れとかで困らない。一本買っておくと便利よ。
[リムテープ]
普通のリムバンドならこれが良い感じだった。
●フロアマット
作業時に敷くマット。メンテナンスマットなんていったりもしますね。ボルト転がってったりすると大騒ぎだし、工具をそこらに置くのも気を遣うじゃないですか。そこでマットを敷いとくわけですよ。使えばわかる快適さよ。
ダートフリークでは100cm×220cmのフロアマットと、65cm×45cmのスタンドマットをラインナップ。自分的にはスタンドマットが気になる。
[レーシングフロアマット DIRTFREAK Vintage]
[スタンドマット DIRTFREAK Vintage]
●作業用井桁
タイヤ交換時にホイールを置くための台。自作だと1000円くらい。
作り方は「タイヤ交換 井桁」で検索すると色々出てくる。600mmの2×4材が4本いるよ。8フィートの2*4があれば四分割して、はめ込むため切り欠きをノミで掘るだけ。
ちょっと気になるのは、彫り込んだ部分が割れそうな気がする。2×2とかの角材から作ったほうが剛性出そう。
別に井桁じゃなくても、ちゃんとホイールが置ければなんでも良いぞ。
●スイングアームリフトスタンド
タイヤを外した時に車体が不安定になるので、こいつで支えておくと結構安心。鉄カブだったら掛ける場所には苦労しないはず。
かなり重宝してる。
[C5025 スイングアームリフトスタンド]
●メカニックグローブ
忘れちゃいけないメカニックグローブ。グローブなしで頑張ってると怪我しちゃうぞ。ビードとリムにはさまれると地味につらい。
[メカニックグローブ]
では実際にタイヤ交換をしてみよう。
まずはタイヤを外すんだけど、フロントの場合は12mmと17mmの工具が必要(デカドラムの場合は14mmと19mm)。
で、リアホイールを外すには、10mm、12mm、14mm、17mm、23mmが必要。(年式、車種によって19mm、22mm、30mmが必要な場合もアリ)。
必要な工具について詳しくは過去記事のメンテナンス工具編を見てね。
[ホンダSUPER CUB50/70/90の工具を考える① 日常使いのメンテナンス工具編 - webオートバイ]
フロントは1人でも余裕だけど、リアホイールの脱着は、2人のが楽。
一人でやるときはセンタースタンドが外れないように気を付けてね。
というわけでホイールが無事に外れたら、さっそくタイヤ交換。
●リムから古いタイヤを取り外そう
雪中ツーリング以来愛用してたスノータイヤを外すのだ。
ここはポイント。
ビードはしっかりと落としておこう。
●注意! タイヤレバーは90度以上起こさないこと!
●リムテープとリムバンドの分厚さを比較。
今回はリムバンドの代わりにリムテープを使うよ。便利そうで気になってたんだけど、テープっていうくらいだから薄いんじゃないかとちょっと不安だったのよね。特にスーパーカブは、鉄リムのサビが激しいし。
でも実物見てみたらなかなか分厚い。通常のリムバンドとの違いが気になるので、実測ですが計ってみました。
リムって中央部がへこんでるので、どれくらい追従するのかな。とりあえず貼ってみる。
貼り終わったら、ぐいぐいとリムに合わせて押し込んでみた。意外と追従するね。これなら最初からリムのへこみにあわせて貼っていっても良かったかも。
で、貼り終わったらバルブ穴のところに適当なドライバーでも差し込んでぐりぐり。バルブ穴の開口部で押し切りする感じでぐりぐりしてると、きれいに穴空くよ。
●次は新しいタイヤをリムに取り付けるぞ。
タイヤのビード部分にタイヤクリームをまんべんなく塗り付けるのだ。
このときに、表面だけじゃなく裏面にも塗るのがコツ。
タイヤの取り付け方法だけど、今回はまずタイヤの片側をリムに取り付けて、チューブは後から入れます。
チューブをタイヤに入れておいて、まとめてリムに取り付ける方法もあるけど、今回は後入れ。
で、タイヤの片側がリムにはまったら、お次はチューブを入れます。
ここが怪我しやすいポイント。で、バルブプーラーとビードリフターが役に立つのよ。
で、最後にタイヤをはめるのが一番難しいと思うので、ちょっとプロにお手本を見せてもらいました。
手順としては、タイヤの片側をホイールにいれたとこから。
やっぱりプロはスマートね。無理なくはめてる。
ビードキーパーさえあれば、タイヤレバー1本でいけるってのもびっくりしましたよ。
で、無事に装着出来たら最後にビードがちゃんとはまっているかと、空気漏れのチェックして完成。
結束バンドでのタイヤ装着を試してみる。
というわけで基本のやり方は前ページの通り。で、今回はさらに「結束バンドでのタイヤ装着」ってのもやってみました。
結束バンドを使って簡単にはめることができる、ってことなんですが、最初にタイヤ外す時にはタイヤレバーが必要だし、使う道具は結束バンドの分だけむしろ多くなる。
手間についても、正直そんなに変わんないと思う。
じゃあどんなメリットがあるのかって、タイヤをはめるときにチューブを破りにくいことに尽きます。失敗しづらいのよ。
実際にカブや自転車のタイヤ交換をしたことある人なら、チューブに穴開けた苦しさは知ってるはず。若林は一度のタイヤ交換でチューブに連続5回穴開けたことがあります。というわけで、やってみよう。
●必要なものは通常のタイヤ交換工具+結束バンド
必要なものは通常のタイヤ交換工具に追加して結束バンド。
今回は300mmのリピートタイプを選んでみました。
●タイヤにチューブを入れて結束バンドをまくのだ
タイヤを外すとこまでは、通常のやり方と一緒。
で、外したタイヤにチューブを入れます。
で、チューブがタイヤの中で捻じれてると困るので、一度軽く空気を入れます。
きっちり入ったら空気抜いて、結束バンドを締めていきます。
一通り結束バンドをはめたら、ビードクリームを塗って準備完了。
●ひたすら押し込むのだ。
バルブ位置を合わせてぐいぐい押し込む!
はまりました!
注意:ビードが硬いタイヤの時は、最後だけタイヤレバー使えばさくっと入るよ。
はまったらエアバルブが引っ込んでると思うので、エアバルブコアドライバーかエアバルブプーラーで引っ張り出して、ナットで仮止め。
今気づいたけど、通常のタイヤのはめ方と同様、先にバルブ穴にエアバルブプーラー通してバルブに付けておいた方がスマートかも。
最後にタイラップを外せばタイヤ装着完了。
あ、エア漏れチェックと、ビードがちゃんとはまってるかのチェックはお忘れなく。
●工程動画も見てみてね。
実際の工程を動画にしてみたよ。参考にしてね。
まとめ
やってみると意外と簡単。大事なのは、良い工具を揃えることと、無理をしないことかな。くれぐれもバルブが傾いたりとか、ビードがはまってないとかのチェックはお忘れなく。
そんなこんなで前後ともタイヤ交換完了。いやー、ひさびさのロードタイヤは新鮮ですね。外したスノータイヤはラップかけて、次の出番まで保管しておくのです。
写真・文:若林浩志 取材協力:ダートフリーク
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若林浩志/プロフィール
愛知の地方カメラマン。1973年生まれ。撮影は、バイクと料理とブツ撮りが好き。
所有バイクは、ホンダ・スーパーカブ90とヤマハ・TDR250。平成終盤にキャンプに目覚め、ネットで用品を買いまくる毎日。
趣味はamazonレビュワーランキング上げ。最近はメルカリにハマっています。
[若林浩志 - webオートバイ]
[愛知県のフリーカメラマン。広告雑誌撮影の若林写真事務所]