侍ジャパン、初優勝へ「総力戦」で臨む日韓戦。「いい感じ」の外崎と正捕手筆頭・會澤の起用法が鍵【プレミア12決勝戦展望】

侍ジャパン、初優勝へ「総力戦」で臨む日韓戦。「いい感じ」の外崎と正捕手筆頭・會澤の起用法が鍵【プレミア12決勝戦展望】

「今日の試合をつなげていくかが大事」

 「世界野球プレミア12」スーパーラウンドの最終戦は、侍ジャパンが10−8で韓国を下して、首位通過。すでに決勝進出を決めていた韓国との試合だったため、やや気持ちのコントロールが難しい試合になった。
 
 試合後の稲葉篤紀監督の歯切れの悪い言葉がそれを明らかにしている。
 
「今日の勝ち負けが明日に繋がっていくかどうかと言うのは、正直……気分はいいですけど、今日の試合をつなげていくかが大事です」
 
 勝つには勝ったが、どれほどの影響があるのか。指揮官さえもわからないというのは、この試合の性質のせいだろう。勝っても負けても、決勝進出が決まっているチーム同士。五輪出場権でもかかっていれば違っただろうが、それすら、なかった。
 
 侍ジャパンはほぼプラン通りに戦ったが、相手の韓国がどこまでであったかは、明日の決勝を戦わないと見えてことないというのが指揮官の本音だろう。
 
「当たりの出てきた選手が増えてきました。今日、ヒットが出た選手もいましたので、明日の1試合をどう戦っていくかを含めて考えていきたい」
 
 稲葉監督がそう紡いだ言葉は、そのまま、決勝の展望になるだろう。
 

先発マスクは小林か會澤か

 では、決勝戦、侍ジャパンはどう戦うべきなのだろうか。
 
 先発は山口俊と発表されている。日程の関係上、スーパーラウンドの初戦を投げていた投手が、決勝も先発することは容易に想像がついたが、稲葉監督は流れをそのまま大事にした。
 
 そこに異論はないが、正直なところ、「1番最初にマウンドに立つ」人物が山口であって、命運を握っているとは感じない。「総力戦になる」と言う稲葉監督、建山義紀ピッチングコーチの言葉が現実的だろう。
 
 そこで一つ目の問題に直面する。
 先発の捕手を誰にするかだ。
 
 今大会を見ていると、會澤翼が正捕手に近い位置にいる。いや、リード、スローイング、そしてバッティングを総合しても、頭一つ抜けた存在と言える。セ・リーグトップという得点圏打率もさることながら、しっかりボールを見極められるところも彼が今大会で発揮している要素だ。
 
 ただ、先発が山口俊となると少しややこしい。
  
 稲葉監督は會澤を正捕手として評価しつつも、先発投手との相性を気にするところもある。山口の時は、チームメイトの小林誠司、高橋礼の時は、甲斐拓也という風にだ。山口と小林バッテリーは、昨季ノーノーを達成しているコンビでもある。
 
 その観点からいくと、先発捕手は小林になるわけだが、この日の韓国戦に先発して、相手打者の特徴を知り得た上に2安打をマークした會澤を先発から外す理由はあるのだろうか。
 
「連打を喰らわないこと。一人一人を抑えていくことが大事だと思います。しっかり準備してやりたいと思います」
 
 會澤はそう話すだけにとどめたが、そうした堂々とした立ち振る舞いが「正捕手然」としていて、決勝マスクを任せたくなる。
 
「そこも含めて検討します」
 
 揺れる胸中をそう吐露している稲葉監督は、どう言う決断をするのだろうか。

「違い」を生み出せる外崎修汰

 次に、課題となるのが、脇役をどう決めるかだ。
 
 これまでの戦いを振り返ると、攻撃面の方では、4番の鈴木誠也が中心になっている。先制点や決勝打のほとんどが彼からもたらされているし、本塁打も彼しか打っていない。チャンスで回せば結果を必ず出してくれる期待感さえある。鈴木の前後を打つ浅村栄斗も好調をキープしている。彼らが、いわゆる主演を務める二人だ。
 
 一方、悩みどころは、固定できない1番打者、そして、先発、あるいは途中出場で、「違い」を生み出すことができている外崎修汰の起用法だ。この二つをどうクリアーにしていくのだろうか。
 
 外崎に関してから先に書くが、16日は「9番・二塁手」で先発した菊池涼介に変わって、3回裏から代走で出場し、最後まで役割を全うした。
 
 圧巻だったのは、3回裏の代走の時で、外崎は、その2球目に盗塁を仕掛けている(成功)。5回の守備では1死一、三塁からの右翼フライで、中継プレーに入り、本塁生還を阻止している。8回にも、四球で出塁し、盗塁を決めた。
 
 本人曰く「いい感じ」に来ているそうだ。
 
 打席では、国際大会用にタイミングの取り方を変えて、それがはまっている。守備は彼の持ち味の一つだが、この日決めた二つの盗塁はどちらも、3球以内に決めたものだ。
 
 これが意外に重要で、盗塁のできるランナーが一塁にいる際、バッターは走者が盗塁するタイミングを見計らっている。所属チーム同士であれば、その気遣いは気心でカバーできるが、代表チームというと、そういうわけにはいかない。失敗するにしろ、早い仕掛けが必要なのだ。
 
 その点、外崎は心得ている。
 
「早いカウントでいくことを考えていました。バッターからしてもカウントが浅い方が助かると思うし、常に1球目から行くつもりで準備をしています。今日はクイックもいけるタイミングの投手でしたからね」
 
 代表の「足」といえば、いつも代走で起用されている周東佑京の存在が目立っているが、彼は盗塁を決める一方、一塁走者の際に打者が三振するケースが5度もあった。もちろん、投手の違いや、打順の巡りもあるから、一概に、外崎との差とは決め付けられないが、少なくとも、外崎には「バッターのためにも早く仕掛ける」意識があることはプラスになる。
 
 外崎をベンチに置いておくのはもったいない。
 
 二塁なら菊池を、三塁なら松田宣浩をベンチに追いやることになるわけだが。稲葉監督は、どういう選択をするだろうか。

懸案1番打者の起用は?

 最後に1番打者をどうするか。
 
 秋山翔吾が怪我で離脱してから懸案事項になっているのが1番打者の固定だ。この2試合は山田哲人が務めた。2連勝を挙げたし、昨日の試合では3打数2安打2打点と活躍している。
 
 ただ、いつもの山田らしいかというと、それは否定しなければいけない。
 彼ほどの力量があれば、常にスタメンで出て欲しい選手であることは間違いないが、今大会では、彼らしいバッティングは一度として出ていない。調子を上がらない山田をこのまま1番で起用するにはやや不安が残る。
 
 山田以外となると、人材は限られてくる。
 昨日3安打を放った丸佳浩が候補の一人目だ。だが、稲葉監督は「所属チームで組んでいる」という理由から坂本勇人、丸佳浩の並びを気にしているフシもある。1番・坂本、2番・丸なら、この形は守られるが、坂本が絶好調ではない中では難しい選択になるのではないか。
 
 これら3つが決勝戦のポイントになるだろう。
 
 稲葉監督はどう言う決断をするだろうか。
 
 初優勝への鍵になる気がしてならない。
 
 
氏原英明


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