今シーズンは、ダークホースの優勝もあり得る

 開幕シリーズ3連戦が終わって、パ・リーグは「同一カード6連戦」である。ファイターズは苦手の仙台シリーズ。さっそくアタマ2つを落として、これは恐怖だなと思った。バーヘイゲンが来日初勝利で止めてくれた(ホッとした)けれど、6連敗の地獄の釜のフタが開きかけた。これ、うっかりすると大型連敗をしてしまうなぁ。
 
 僕は120試合制の2020年シーズンを「ハウスルール」みたいなもんだと捉えている。それは60試合制になるらしいMLBだともっと顕著なのだが、例年とは別レギュレーション、別ルールのコンペティションじゃないか。60試合制ならはっきり言って全球団に優勝の可能性がある。120試合制になるとだいぶ地力勝負に傾くが、それでも戦い方によってはダークホースの優勝があり得る。
 
 6月開幕のNPBを文句言うのでなく、楽しみたいのだ。このレギュレーション、このルールでの勝ち方を探りたい。今シーズンはベンチワークの年だ。早く勝ち方を見つけたチームがアドバンテージを握る。いや、たぶん握るのではないかと仮説を立てて、目を皿のようにして野球を見ているというべきか。
 
「延長10回まで」はセ・パ共通していて、継投を変えつつある。延長が12回まであるか10回までかは大違いだ。DHのあるなしでセ・パに微妙な違いはあれど、基本、交代は早めになっていると思う。投手を残しておく必要がない。したがって、今シーズンは規定投球回数に到達する投手がほとんど出ないと考えられる。継投の駒数、継投の多彩さがおそらく後半戦のポイントになるだろう。
 
「延長10回まで」はもうひとつ、足を使った攻めをクローズアップしている。去年、周東佑京(ソフトバンク)が大いに売り出したけれど、終盤ワンチャン仕掛けようというときに俊足の選手は欠かせない。ロッテの和田康士朗が評判を呼んでいるのもそこのところだ。ファイターズも案外早く、宮田輝星(100m10秒9の俊足!)を支配下登録するかもしれない。
 
 だが、僕の目下の関心は「同一カード6連戦」だ。ここを研究したい、北海道、福岡県にチームがあり、否応なく飛行機移動が生じるパ・リーグだけの「ハウスルール」。これは冒頭申し上げたように大型連敗の危険性を孕(はら)む恐怖のレギュレーションだ。目下、ファイターズとオリックスが好調チームとぶつかる怖ろしさ(26日終了時点でハム●●〇●??、オリ●●●●??)を経験している。
 
 これまで好調チームとぶつかっても3連敗(●●●)で済んだのである。腕相撲で手を組んだ瞬間、あ、これは負けると直感するようなときがある。あぁ、向こうは絶好調なんだなー、という感じだ。そういうときも例年なら3連敗すれば、別球場で別のチームとやれて、目先が変わり、うまくすると一巡して今度当たったときは様相が変わってたりした(変わってなくてまた●●●のときもあった)。
 
 いずれにせよ「目先を変えて気分転換がはかれる」「問題を棚上げして時間が稼げる」という2点で3連戦の日程は大変ありがたかったのだ。

変則日程ではベンチワーク、特に捕手のリードがカギに

「同一カード6連戦」は始まったばかりなので、まだ各チームの作戦が読めない。僕はCSや日本シリーズのような短期決戦をたたき台にして、捕手のリードに注目している。まぁ、実際には短期決戦ではなく、延々続いていくペナントレースなのだが、他に「同一カード6連戦」を考えるサンプルがないのだ。
 
 CSや日本シリーズのセオリーは「こいつだけは打たせちゃいけない」というキーマンを決め、徹底的に殺しにかかることだ。つまり、ベンチワークだ。データを集め相手を丸裸にし、攻め方を考える。これはチームのスコアラーとコーチ、そしてキャッチャーの合作になるだろう。キャッチャーの負担は大きい。通常、(バッティングがいい選手でも)CSや日本シリーズでキャッチャーはあまり打てない。リードを考えるだけでいっぱいいっぱいだから。
 
 が、(ファイターズがまさにそうだが)現在のプロ野球のトレンドは捕手併用だ。主にピッチャーとの相性を見て、組むキャッチャーを変えている。となると「攻め方の申し送り」というのか、「第1戦でこういう攻め方しときましたよ」「たぶんこういう残像が頭にあるはずですよ」みたいな引き継ぎのようなミーティングが必要になるんじゃないか。「攻め方の合議制」とでも呼ぶべきか。僕はここのところが面白いと思う。
 
 いや、これは3連戦でもフツーに行われてきたはずなのだ。僕は普段、3連戦のカード頭の攻め方に注目している。1試合の第1打席の攻め方は第2、第3、第4打席の攻め方と連動している。例えば内角を意識させて、その伏線を後々使っていく。で、同じことが3連戦にも言えるのだ。カード頭の攻め方は第2戦、第3戦ともつながっている。3試合にストーリーができる。そして、当然、6試合ならもっと長大なストーリーが紡がれるはずだ。
 
 僕は残像の生かし方は清水優心が上手いと思っている。今のキャッチャーは強肩にスポットが当たりがちだが、清水のリード、ピッチャーを生かす感性は素晴らしい特徴だ。本当に含蓄のあるキャッチャーなのだ。何であの球を要求したのかなとそのときわからなくても、後々の試合で、あ、もしかしたらこういうこと考えてたのか!、とハッと思い当たることがある。
 
 だけど、清水ひとりじゃペナントレースはまわせない。キャッチャーは重労働だ。またファイターズは下位打線に課題を抱えていて「7、8、9番打者の強化」は急務であった。宇佐見真吾、ビヤヌエバの獲得はそれを考えてのことだ。打てるキャッチャー、宇佐見の加入はとてもいい刺激材料になった。
 
 今、最初の6連戦の4戦までが終わった時点で、まだ軽々なことは言えない。どういう(ストーリー策定の)ミーティングが行われているのかも情報が出ない。ファイターズ初の「同一カード6連戦」は楽天戦だが、興味深いことに両軍、同じ選手(浅村栄斗と中田翔)に打たれている。「攻め方の申し送り」はあまりうまくいってない気もする。
 
 が、ほとんど確信していることがあるのだ。この「同一カード6連戦」はキャッチャーを育てる。キャッチャーは普段の何倍も考えざるを得ない。野球経験値をびよよーんとアップさせる錬成道場だ。それは清水優心にも宇佐見真吾にも、石川亮にも言えることだろう。というわけで読者にもキャッチャーに注目していただきたいのだ。