甲子園を沸かせた文武両道校、東筑野球部員たちの旅立ち

甲子園を沸かせた文武両道校、東筑野球部員たちの旅立ち

大学合格のニュースが全国に流れる春。昨年2季連続甲子園を果たした東筑にも「朗報」が届きました。エース石田旭昇投手の好投を引き出した北村謙介捕手が、一般入試で慶応義塾大学総合政策学部に合格。以前、ヤキュイクで紹介した田中陽樹選手は京都大学に合格を果たしました。甲子園出場を経て、大学野球でも文武両道を目指す選手たちにこれまでの勉強と野球の両立、そしてこれからの目標についてお話を聞きました。

(写真左から)
林大毅(投手・立教大学進学)
石田旭昇(投手・法政大学進学)
北村謙介(捕手・慶応義塾大学進学)
菊池聡太(外野手・早稲田大学進学)

創部120年の東筑野球部に「快挙」と言える朗報が訪れました。甲子園出場主力メンバーの4選手が東京六大学に合格。そして「チーム一の秀才」としてヤキュイクで紹介した田中陽樹選手が京都大学工学部に合格を果たしました。
同じ学年の選手がこれほど多く難関大学野球部に進む代は珍しく、青野浩彦監督、山本哲也部長も「野球と勉強、両方とも頑張った結果」と喜びを口にしています。日頃から「楽しい野球を頑張るために、苦しい勉強を頑張りなさい」と教えてきた青野監督。選手たちはその言葉をどう受け止め、実践してきたのでしょうか? 2年夏、3年春に甲子園出場した石田投手に聞きました。

石田「中学のときから『将来は教師になりたい』という夢があったので、東筑に入って勉強もしっかりやろうと思っていました。入学後は、練習が終わってから塾に通っていましたが、勉強は苦手なほうだったので、ほかの選手と比べて必死だったと思います」

山本部長が「野球も勉強も負けず嫌いで、一番の努力家」と話す石田投手。「苦手なものに取り組む姿勢が他の見本となり、チームにいい影響を与えた選手だった」と振り返ります。慶応大一般合格の北村選手、難関クラスに在籍していた菊池選手はレギュラーの中でも成績上位。「一浪すれば東大も夢じゃない」という声もあったほどです。2人に聞くと「勉強に向き合う習慣」がもともと備わっていたと話します。勉強に向き合う思考とは、どんなものだったのでしょうか。


■勉強と野球は脳の中の「別々の部屋」(菊池)。本当は勉強が嫌いです!(北村)


菊池「子供のときから何事も全力で手を抜きたくないタイプ。親の薦めもあり、中学のときから早稲田大学に行くのが目標でした。指定校推薦で合格するためには定期テストを頑張る。野球でどうこうしてきた人生じゃないので、甲子園は『贈り物』、勉強を頑張ってきたご褒美のような感じがしていました。勉強と野球、自分は脳の中の“別々の部屋”を使って考えているイメージでした」

北村「本当は勉強が嫌いです。嫌です!(笑)。でも学生なので勉強はしなければいけない。勉強をすればするほど行きたい大学の選択肢が増える、可能性が広がる。そう思ってやっていました。最後の最後は(一般受験は)キツイというより、楽しくなってきたんですよね」

「勉強すれば選択肢が広がる」。高校生でこのことに気づけるかどうか。気づいたとしても、野球名門校の練習をしながら行動に起こせるかどうか。「子供のころから勉強する習慣があった」2人だったから、実践できたのかもしれません。そんな2人の子供のころに通っていた習い事を聞いてみました。


■親から「勉強でお金を使うなら使っていい」と後押し


北村「公文を小4までやっていました。それと同時に、姉が行っていた塾に中3まで通いました。親が『勉強でお金を使うなら使っていい』と言ってくれたこともきっかけだったと思います。僕は家では勉強できないのですが、外だとやる気が出る。大学の受験勉強も塾や学校(東筑)でやっていました。中学は硬式チーム(古賀ボーイズ)に入り、19時半まで練習したあと、20〜22時までが塾。一見大変そうですが、24時には寝ていたし、毎日7時間半は睡眠もとれていたので苦ではなかったです」

菊池「幼稚園のころはサッカーをやっていたのですが、ちょっとピンとこなくて……。小1で野球を始めて、水泳と書道もやりました。一時、野球をやめたのですが、小4から再開して、同時に学研もやって。塾は中学から行きました。入った硬式チーム(八幡南ボーイズ)ボーイズは火曜日が休みで、木は塾優先でOK。だから両立できたのだと思います。野球でも、ボーイズの全国大会に出場しました」

野球と塾を両立してきた2人。石田投手、北村選手に聞くと、子供のころ習っていた「水泳がおススメ」と話します。

「水泳はいいですよ。水泳をやめたら全身が固くなって、ケガが増えました。全身運動なので、身長も伸びるらしいです!全身運動ですからね」(北村)。

「風邪予防」で始める子どもがスポーツですが、野球にもつながる要素があったようです。では最後に、改めて、野球の魅力について語ってもらいました。

石田「野球には、自分の長所を生かせるところがいろいろある。足の速い人、守備のうまい人、肩の強い人。自分は肩が強かったお陰でピッチャーになれて、甲子園に行くことができました。全てがそろっていなくても、個人の長所を伸ばして試合で発揮できるところが野球のいいところだと思います」

菊池「勝つからうれしい、面白いって言う人がほとんどだと思うのですが『野球は失敗のスポーツ』というところに僕は魅力を感じます。努力しても足りない、だから成功したときの喜びが大きいし、一生取り組んでも満足することがない。そういうところがおもしろいです」

北村「野球、特に高校野球は1番注目されるスポーツ。人から見られる、注目されることが好きなので、野球が1番魅力のあるスポーツだと思っています。プロ野球選手になりたいと思ったとき、自分でどうにかできるものじゃないじゃないですか? 人からの評価を受けてなれるもの。だからこそ、プロ野球選手になりたいと憧れるし、その一方で、どこかで自分に区切りをつけて、もう一つの夢を探そうかなとも思っています」

彼らは自分なりに全力を尽くし、甲子園と六大学をつかみ取りました。東筑の選手たちの姿が「将来高校野球と勉強の両方を頑張りたい」と思っている小・中学生の見本となり、本当の意味での「文武両道」選手が増えていけば、野球の未来も明るくなるはずです。


■選手に聞いた(1)野球の目標(2)卒業後の夢


石田旭昇(法政大・投手)


(1)負けない投手
(2)社会科教諭


林大毅(立教大・投手)


(1)最多勝投手
(2)社会人野球


北村謙介(慶応大・捕手)


(1)リーグ優勝&大学日本代表
(2)会社員。ゆくゆくは起業


菊池聡太(早稲田大・外野手)


(1)三冠王&謙虚、笑顔
(2)商社に入って海外に行く

(取材・文/樫本ゆき)


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