◆ 昨年の“夏の甲子園”で大きな存在感

 新型コロナウィルスの影響で中止となった選抜高校野球。まさに“幻の大会”となってしまったが、チーム、選手にとってはこれからもシーズンは続いていく。ここでは、そんな幻の大会で見たかったドラフト有力選手を紹介していきたい。今回は今年の高校球界が誇る万能型のリードオフマンだ。

▼ 細川凌平(智弁和歌山)
【ポジション】遊撃手兼外野手
【身長/体重】174cm / 75kg
【投   打】右投げ左打ち

<2019年秋季大会成績>
10試合:38打数15安打 1本塁打 12打点 9四死球 3盗塁
打率.395 / 出塁率.511 / 長打率.605 / OPS1.116

 入学直後からベンチ入りを果たすと、1年夏の和歌山大会では早くもホームランを放つなど活躍。秋からは不動のセンターに定着した。そんな細川の名が全国的に知れ渡ったのは昨年夏の甲子園だ。

 1回戦の米子東戦で2安打を放つと、続く明徳義塾戦では同点の場面で迎えた7回に勝ち越しのスリーランを放つなど、3安打の大活躍。敗れた3回戦の星稜戦でも奥川恭伸(ヤクルト)から1安打、2四死球と3度出塁して存在感を示している。

 新チームでは主将となり、それまでチームを牽引してきた黒川史陽(楽天)や東妻純平(DeNA)が抜けたことでマークも厳しくなったが、そんな中でも結果を残し続けた。

 特に凄みを見せたのが両チーム合わせて30安打という壮絶な試合となった近畿大会の智弁学園戦だ。6点を追う3回に反撃の口火となるとセンター前ヒットを放つと、続く打席でもレフト前ヒット、ライト前ヒットと三方向に打ち分けて3安打をマーク。他の3打席でも、二つの四球と犠牲フライと全打席で結果を残して見せた。

 チームは13対17で敗れたものの、“智弁対決”に訪れた大観衆の前で改めてその能力の高さを示した。


◆ “ショート転向”はプロへのアピール効果も大

 細川の持ち味はそのミート力の高さだ。上半身を上手く脱力して構え、軽くバットを引いてトップの形を作り、そこから無駄なくシャープに振り出すことができている。体の割れもしっかりできており、膝を柔らかく使うことができるため緩急への対応力も高く、難しいコースのボールも芯でとらえて広角に弾き返すのだ。プロフィールを見ても分かるように決して大柄ではないが、大きな反動をつけずにヘッドを上手く走らせており、昨年夏もライトスタンドへ叩き込んだように長打力を持ち合わせている。チャンスでもしっかりボールを見極める選球眼も大きな武器だ。下級生の頃から主に1、2番を任せられているが、リードオフマンとしてはまさに理想的な選手と言えるだろう。

 細川の魅力は、決してバッティングだけではない。抜群の脚力で打者走者としても全力疾走を怠らず、足でも相手にプレッシャーをかけることができる。昨年夏の米子東戦ではセカンドゴロでの一塁到達で3.97秒というタイムをマークしているが、これは筆者が初戦で計測した一塁到達タイムの中で最速だった。秋季大会でもチームトップタイとなる3盗塁をマークしており、積極的に次の塁を狙う姿勢も魅力だ。

 昨年まではセンターで広い守備範囲と強肩を見せていたが、秋季大会終了後には中学時代に守っていたショートにコンバートされている。体のサイズを考えると、確かに外野手よりショートのほうがプロへもアピールしやすい。打撃と走塁面は既に十分実力が認知されているだけに、“最後の夏”にはショートとしてどのようなプレーを見せてくれるのか、あらためて注目したい。


記事提供:プロアマ野球研究所