◆ "球春"の訪れはいつ…?

 「全国で最も早く、東京都心で桜が満開に」──。

 各所で春の訪れを感じる出来事が増えてきたが、"球春"の到来はいつになるのか、依然としてその見通しは立っていない。

 世界中で猛威をふるっている「新型コロナウイルス」の脅威…。人々を集めるイベントそのものの開催が難しくなっている情勢から、日本のプロ野球もシーズン開幕の延期が決定。本来であればこの週末、3月20日が待ちに待った開幕日だった。


 しかし、開幕はお預けになろうとも、カレンダーは確実に進んでいく。見通しは立っていないとはいえ、いつか来る"本番"に向けて歩みを止めるわけにはいかない。現在、プロ野球界では観客の入場をさせずに行う非公式戦=練習試合を開催中。あらかじめ決められていた日程に沿って戦いが繰り広げられている。

 「公式戦ではない」ということで、当然ながら各チームは勝ちにこだわった野球というよりも、様々な選手や起用法、作戦を試しながらの戦いとなっているのだが、"幻の開幕カード"として行われた20日〜22日の3連戦はどのような結果で、どのようなことが起こっていたのだろうか。

 今回見ていくのはセ・リーグの3試合。カードごとにトピックスを拾いながら、以下にまとめてみた。


【セ・リーグ】
3勝0敗 中日
2勝0敗 巨人
2勝1敗 ヤクルト
1勝2敗 阪神
0勝2敗 DeNA
0勝3敗 広島


◆ 巨人に新たな“打てる捕手”の希望

▼ 巨人 − DeNA(東京ドーム)
・20日:試合なし
・21日:巨 8 − 0 De
・22日:巨 8 − 1 De


 巨人とDeNAの対戦は20日の試合は行わず、土日のみの開催に。巨人が2試合連続の2ケタ安打で快勝した。

 巨人と言えば、15日まで行われていたオープン戦では12球団最下位に沈み、2月23日を最後に長らく白星から遠ざかるなど苦しい戦いを強いられていたが、この2連戦では大城卓三が大活躍。初戦でスタメンマスクを被って3打数1安打、武藤祐太から先制の一発をマークすると、2戦目は3打数3安打の固め打ち。内容も「左本」「二安」「中二」と、2試合連続本塁打に加えてサイクル安打にも王手をかけていた。

 昨季は打撃を活かすために一塁での出場も多くなったが、今年はマスクを被りながらの出場でも結果を残しており、開幕スタメンマスクの可能性も現実味を帯びてきた。阿部慎之助という偉大な“打てる捕手”が現役を退いた2019年を経て、新たな“打てる捕手”が誕生するのか、注目が集まっている。


 2連敗に加え、2戦合計で1得点と打線が沈黙したDeNAだったが、その唯一の得点を叩き出したのがタイラー・オースティン。新助っ人が好調をキープしている。

 22日の第2戦、4回二死走者なしの場面で巨人の左腕・田口麗斗からライトへ技ありの一発。オープン戦で.343というハイアベレージを残しているように、力だけではないということは証明済み。筒香嘉智が抜けた打線の救世主として、大きな期待がかかる。


◆ レギュラー定着を目指す右の大砲候補

▼ ヤクルト − 阪神(神宮)
・20日:ヤ 7 − 2 神
・21日:ヤ 6 − 5 神
・22日:ヤ 0 − 10 神


 神宮ではヤクルトが阪神に2勝1敗で勝ち越し。今季こそレギュラー定着に期待がかかる塩見泰隆が状態の良さをアピールした。

 武相高から帝京大を経て、社会人JX-ENEOSから2017年のドラフト4位で加入した右の外野手。高い身体能力を誇る3拍子揃った選手として高い期待をかけられ、過去2年ではファームでやることはない、というくらいの活躍を見せながらも、一軍に上がると実力を発揮できずに苦しんできた。

 そんな男が今季はオープン戦から「5番」に定着すると、13試合の出場で打率.302と奮闘。この練習試合でも3試合続けて5番に入り、全試合で安打を記録している。村上宗隆が若くして4番の座を手中に収め、今季はよりマークが厳しくなることが予想されるだけに、その後ろを打つ打者というのが重要になってくる。今季こそ、一軍に定着してブレイクを果たすことができるだろうか。


 阪神も、開花が待たれる右の大砲候補が奮闘。陽川尚将がオープン戦に続いて好調だ。

 オープン戦では出だしが遅かったため規定打席には届かなかったものの、10試合の出場で打率.400をマーク。特にラスト2試合はいずれも3打点をマークするなど、勝負強い打撃が目立った。

 この練習試合でも初戦は途中出場で1打数無安打に終わったが、第2戦で快音を響かせると、3戦目では7回二死二・三塁のチャンスでフェンス直撃の2点適時二塁打を放つと、9回には右中間スタンドに2ランを叩き込んで4打点。プロ7年目の飛躍に期待がかかる。


◆ “鬼門”で3連勝

▼ 広島 − 中日(マツダスタジアム)
・20日:広 3 − 4 中
・21日:広 1 − 3 中
・22日:広 8 − 9 中


 広島はホームで中日に3連敗。昨季は15勝10敗と貯金を稼いだ“お得意様”を相手に苦杯をなめた。

 最初の2戦はレギュラー争いをリードしている選手たちでメンバーを組んだなか、3戦目はガラッと入れ替えて開幕一軍入り、スタメン入りへ当落線上の選手たちを中心に挑むと、生き残りに賭ける打者陣が奮起。1番でスタメン出場した堂林翔太は二塁打2本に本塁打も放つ3安打・3打点の活躍を見せれば、2番に入った上本崇司も3安打の固め打ち。打線に勢いをもたらす。

 ほかにも、高橋大樹が2本の安打を記録すれば、三好匠と小園海斗もそろって2安打・1本塁打とアピール。“ボーダーライン”の男たちの奮闘により、相手を上回る16本の安打が生まれた。


 一方、中日としては昨季も2勝10敗と“鬼門”となっているマツダスタジアムでの3連勝。これは勝敗にこだわらない練習試合とはいえ、チームにとって大きな勝利となったに違いない。

 なかでも若き投手陣が頼もしい姿を見せ、初戦の先発を任された柳裕也は6回1失点の好投。被安打6も一発の最少失点に留め、6奪三振で無四球という内容からはエースの風格すら感じさせた。昨季は自身初の2ケタ勝利を挙げるなどブレイク。今季はローテの柱として、さらなる活躍が期待される。

 また、2戦目に先発した大卒2年目の梅津晃大も5回無失点の快投。昨季は故障などで出遅れながらも6試合の登板で4勝1敗、防御率2.34という好成績を残しているだけに、年間通して投げた時にどんな成績を残すのか。今季は真価が問われるシーズンになる。