◆ 緊急事態宣言の延長に

 政府による緊急事態宣言が31日まで延長され、自主練習の継続が余儀なくされる中、7日、横浜DeNAの今永昇太投手がWEB会議アプリ「ZOOM」で報道陣の取材に応じた。

 全国に出された緊急事態宣言が延長されたことに今永は、「こればかりは僕たちがコントロールできないことなので。正直、『この練習の形態がまた1か月もあるのか』という気持ちになったし、もう一回やらなければいけないことをおさらいしなければいけないな、と思った。早く開幕してファンの方にプレーを見せたい、というのは全プロ野球選手が思っていることなので。それが延びてしまった、ということは率直に残念な気持ち」と話し、「ニュースの中で台湾、韓国のプロ野球が開幕したということを目にするのは、モチベーション上げる一つのことでもあり、悔しい要素の一つでもある。僕たちは開幕する時を信じて、これからも一生懸命準備をしていくだけ。正直、日本はいつになるんだろう?という気持ちもありながら、それでも必ず開幕する、というところを見据えてやっていくだけだと思う」と見えないスタートラインへの心境を語った。

◆ 自主練習

 現在も自主練習を継続している中、今永は、「今週のアタマからキャッチャーを座らせて、まず30球くらいブルペンで投げて、ランニングもトレーニングも、より実戦を意識してスプリント系に変えたり、重たい物を挙げていたところからピッチング動作を意識したものに徐々に変化してきている」のだという。

 「ベイスターズに限らずだと思うが、どの選手も筋肉量は落ち気味な傾向なので、まずは筋肉量を落とさないよう、維持または向上しながらトレーニングをしていく。これからピッチングもどんどん入ってくるので、自分の思い通りのボディーコントロールができるようにプランニングしながらやっていくことが一つのモチベーションになる。そういった数字は今、可視化できるので、そういう数字を見ながらやっていければ」と話す。

 ウエイトトレーニングの具体的な中身については「今、アウター優位、外側の筋肉が優位になっている身体の状態があるので、インナーを意識した身体の使い方にしたり。簡単に言えば、身体の前側よりも背中とか、(肩の)三角筋、前腕、ハムストリング、ふくらはぎとか、ブレーキ筋を多めにやったり。前側の筋肉、大腿四頭筋とか胸周りとかはやればすぐつくものなので。今はブレーキをかける筋肉を重点的にやっている。コンパクトな電気治療でパッドを貼って、といういろんなケアするグッズは自宅でTVを見ながらでもできる。今、治療も受けられない状態でもあるので、自分でできるセルフトリートメントというものもある」と具体的に説明した。。

 「ひとまず5月6日に緊急事態宣言が解除されると僕の中で予測をしながら、解除されると同時に全体練習が始まって…ということを意識しながらやっていたが、また約1か月延びたということで、まずはそこへ合わせてやってきていたこと…ブルペンに入るのもその辺から、とイメージしていた」という今永。

 ブルペンでは「全球種投げながら。キャッチボールでも変化球は試していたし、そこに対しての不安はまったくなかった。今週の初めのブルペンから変化球もすべて投げている」のだという。

 「きょうは45球くらい。そこまで強度を上げているわけではない。やらないと4日くらい空いてしまう日程もあるので2日に一回は入っていきたい」と今後のブルペン投球のプランを述べた今永。そんな中、気になる部分もあるという。

 「ブルペンに入って身体の状態を確認して、少し身体のキレというものは今ひとつかなと思った。ブルペンの状態が悪くはないが、まだまだ身体のキレは変えていけるな、と思ったので、これからはもっとピッチングに近い細かい動き、アウターよりインナーというところをもう一回意識し直してやっていこうかな」と話す。

◆ 現在の状態は?

 現時点での自身の状態については「仮にどれだけ遅くても6月の後半に開幕できている状況があるとするならば、自主トレの最後の方みたいな期間だと思う。状態はキャンプに入る前くらいの感覚。これからもっと心拍数を上げてやるトレーニングとか、球数も増やしていかないといけないし、今の身体の状態が続くなら、あと2、3週間したら急ピッチにしなければいけないな、と感じている」のだという。

 「今は開幕も決まっていないという状況だけど、まず仮で目標を設定しなければ逆算もできないので。僕の中では逆算しながら、ここまでにはこうしておかなければいけないな、と。あと1か月後には、いつ実戦が始まってもいい身体の状態にはしなければいけない。そうでないと例年よりも暖かい時期に開幕して、自分の思った以上の出力が出るかもしれないし、春先の寒い時期とは違う。怪我のリスクもあると思う。それに耐えうるような筋肉とか身体の使い方を加味しなければ、野手の方は肉離れだったり、ピッチャーも肩・肘の怪我も増えるかもしれない。そこのケアは今のうちからやっている」と例年とはまったく異なるシーズンの危機管理にも言及した。

 その上で、開幕時期が決まった際には「イニングの段階を踏んでいくと考えたら、最低3登板はないと。3イニング、5イニング、また7イニングなのか100球なのか。欲を言えば5登板くらいは欲しいが、日程の関係上、そこまでの猶予はないと思うので。最低でも3試合くらいは投げて開幕を迎えられれば。それくらいの猶予がないと、怪我をしてしまう選手ももしかしたら多くなってしまうかもしれないので」と準備期間への要望も述べた。

◆ 高校球児にエール

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、プロ野球のみならず甲子園球児たちにも及んでいる。

 「春のセンバツも中止になって、何という言葉をかけてあげたら彼らは前へ進んでいけるんだろうとすごく考えて。でも自分がパっと思いついた言葉をかけてあげたところで、果たして前を向けるんだろうか、と。生半可な言葉はなかなか出せないな、と。すごく言葉を選ぶが、こういう時に自分の野球以外の人生の部分でも自分がやってきた選択をすべて正解にしてほしいな、というか。人生って選択の連続なので。このコロナで甲子園が開催されなくて、そこでプロへ進めたかもしれない選手もいるし、そこで大学に進めたかもしれない選手もいる中で、それでも自分がモチベーションを保って自分のやってきたことが間違いじゃないんだということを5年後、10年後、正解にしてほしい。これで良かったんだと思える今にしてほしい。いろんな人のいろんな逆境があると思う。みんなに『頑張りましょう』とか『前を向きましょう』ということは…。僕自身はそういう風に考えるようにしているけど、『みんなにそうしましょう』ということは、なかなか難しいこともあると思うので。一緒に頑張りましょうという気持ちはあるが、それぞれの頑張り方があると思うので。自分の無理のない範囲で」。

 様々な状況に置かれた球児たちを慮った今永の言葉だ。

◆ 東京五輪への思い

 一方で、自身が今季意識していた東京五輪は1年後に延期となったが、「今、こういう状況って、国際大会と似ているなと思う」と今永は話す。

 「自分の思ったような練習時間ではない、思ったボリュームもできない、でも試合はある。そういったことに対応できなければ。ちょっと神経質すぎるとなかなか対応できないと思う。柔軟にできないことはできないし、でもやるべきことはやる、という線引きをしっかりして割り切ってやらなければ、なかなかそういった舞台でいい結果は出せないと思う。僕自身、まだ選ばれたわけでもない。着実に結果を出して、アピールして、というところは思っているので。思ったような調整ができない中でもしっかりと国際大会の舞台に進む結果を出したい」。

 あらためて侍ジャパンへの強い思いを口にした。

(取材・ニッポン放送アナウンサー洗川雄司)