◆ 4年前にプロ初出場

 今から4年前の2016年5月11日のソフトバンク戦。

 当時高卒1年目だった平沢大河が、試合途中にショートのポジションに入り、プロ初出場を果たした。

 平沢は仙台育英高校時代の3年夏には夏の甲子園準優勝に貢献、大会後に行われた『WBSC U−18ワールドカップ』に出場し、同年秋に行われたドラフト会議でロッテと楽天から1位指名を受け、ロッテが交渉権を獲得し入団した。

 プロ1年目の16年は開幕二軍スタートも、4月23日のDeNAとの二軍戦で3安打5打点の大活躍を見せるなど、ファームで31試合に出場して、打率.294、4本塁打、23打点の成績を残し、5月11日にプロ初昇格、初出場を果たした。

 翌5月12日のソフトバンク戦でプロ初打席、5月14日の楽天戦では「どの打順にしろやることは変わらないので、しっかりとやれればいいと思います」と『9番・ショート』でプロ初スタメン出場、同年8月17日の楽天戦でプロ初安打を放った。

◆ 3年目に自己最多の112試合に出場

 3年目の18年には、自己最多の112試合に出場。打率は.213だったが、選球眼が良く48個の四球を選び、出塁率.328をマークした。

 「ボール球を振らないことは意識していますし、甘いボールだけを打つことを意識しています」。

 同年6月27日の楽天戦では、エース・則本昂大に対し、簡単に2ストライクと追い込まれるも、4球目、5球目、6球目の低めの変化球に手を出さず、ファウルを挟んでしっかりと四球を選んだのが印象的だった。

 この年は夏場以降、外野のレギュラーで出場し、5本塁打、32打点の成績を残した。ただ本人はシーズン終了後に「1年間一軍にいたのは自信になりましたけど、掴み取った一軍ではなくて、いさせてもらったというのが正直なところ。来年(2019年)以降は自分で一軍を掴み取れるようにやりたいと思います」と反省の言葉が並んだ。

◆ 悔しい4年目

 さらなる飛躍が期待された昨季だったが、前年を大きく下回る51試合の出場にとどまった。

 チャンスが全くなかったわけではなかった。ショートのレギュラー・藤岡裕大、ユーティリティープレーヤーの三木亮(8月7日のソフトバンク戦で左手に死球を受けて『左第4手骨打撲』と診断も一軍帯同)の2人が同時に故障した8月は、8日のソフトバンク戦で『9番・ショート』でスタメン出場すると、マルチ安打をマーク。同試合から5試合連続安打、7試合連続出塁を果たした。

 この時期の平沢は振り遅れの空振りが少なくなり、インコースのボールをファウルで粘り、ボール球に手を出さなくなった。平沢本人も当時「ちゃんとボールは見れていますし、ボール球を振っていないことはいいんじゃないかなと思います」と手応えを掴みつつあった。

 8月は好不調の波はあったものの、26試合に出場して、月間打率.278をマークし上昇気配を見せていたが、9月1日に藤岡が一軍復帰すると、「僕の実力不足かなと思います」と、9月はわずか6試合の出場にとどまり、シーズンを終えた。

◆ 同学年の福田光が加入

 秋のドラフト会議では、ドラフト2位・佐藤都志也(東洋大)、同3位・高部瑛斗(国士舘大)、同5位・福田光輝(法政大)、育成1位・本前郁也(北翔大)、育成2位・植田将太(慶応大)と5人の同学年の選手が入ってきた。5位の福田は同じ右投げ、左打ち、ポジションも同じショートだ。

 福田光は今季、対外試合初戦となった楽天モンキーズとの国際交流試合で、『8番・ショート』でスタメン出場すると、1本塁打を含む2安打2打点の鮮烈なデビュー。オープン戦でも、3月14日の中日戦で2打席連続本塁打を放って見せた。

 昨年までは藤岡、三木とショートのポジションを争うことが多かったが、そこに新人の福田光、今季から支配下選手登録された茶谷健太、さらには3月に入団が発表された通算2085安打を放つ鳥谷敬と、一軍登録枠、レギュラーを争うライバルが増えた。

 ドラフトでも、17年に藤岡、18年に松田進、19年に福田光と毎年、ショートの選手がプロ入りしてきている。「ライバルが入ってくるのは毎年そうなので、負けないようにしないといけないと思います」と平沢。多くは語らないが、この現状を打破し、レギュラーを掴みたいという思いは強い。

◆ 平沢に対する期待

 今年でプロ5年目を迎える平沢大河。昨年秋取材したときには「チャンスはいっぱいいただきましたし、そこで活かせなかったのは悔しかった」と胸の内を明かした。一軍で居場所を掴むためにも、“結果”を残すしかない。

 「今年(2019年)の悔しさを来年(2020年)に活かせれば」(2019年秋取材)。

 「シーズンで結果を残すために、何をするか考えてやっています」(2020年1月取材)。

 1月の自主トレ中の朝、ロッテ浦和球場の室内練習場にいけば、『パチン』と置きティーしている日があれば、『カーン、カーン』とマシンを相手に打ち込んでいる日もあった。さらに別の日も、夕方に室内練習場で黙々とバットを振っている姿を見た。室内練習場にいけば、必ずといっていいほど平沢がバットを振っていた。自主トレに限らず、昨シーズン中も雨で中止になって午前中で全体練習が終わった後、午後に室内で打ち込むなど、結果を残すために常日頃から技術向上に励んできた。

 3月20日に開幕が予定されていたプロ野球は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で無期延期となっている。プロ野球が開幕したとしても、例年よりも試合数は減少が予想され、試合数が少なくなれば、アピールする機会も限られてくる。またポジションを争うライバルが増えたことに加え、今年で5年目で一軍の経験もあり、今までのように多くのチャンスをもらえるかは不透明だ。1回のチャンスでいかに結果を残せるかーー。

 プロ野球に限らず、社会人になれば過程ではなく、結果、数字で物事を評価される厳しい世界だ。ただ結果を残すためには、努力や準備を続けていなければ運も巡ってこない。地道に練習を積み重ね、来るべきチャンスに備えていくしかない。安田尚憲、藤原恭大、佐々木朗希と注目の“高卒”を獲得しているが、マリーンズファンの平沢に対する期待は大きい。ファンの期待に結果で応え、今季こそ、大輪の花を咲かせたい。

文=岩下雄太