◆ 7年ぶりの8連勝

 新型コロナウイルス感染拡大により開幕が3カ月遅れで始まったプロ野球。ロッテは開幕戦となった6月19日のソフトバンク戦こそサヨナラ負けスタートとなったが、翌20日から現在8連勝中。前カードのオリックスとの6連戦では、同一カードで6タテを達成した。

 好スタートを切った要因は多岐にわたる。開幕から全試合で先発投手が5イニング以上投げていること、救援陣は2連投以上がなく、先週の1週間も3登板以上投げた投手がいないこと、開幕から9試合で失策数がわずかに2つ、日替わりヒーローの誕生、1番から9番まで切れ目のない打線になっていること、チーム盗塁数がリーグトップの13盗塁で足を絡めた攻撃ができていることなどなど、枚挙にいとまがない。

 その中でも感じているのが、井口資仁監督が就任した2018年に本格的にレギュラーとして起用されてきた井上晴哉、中村奨吾、藤岡裕大、田村龍弘といった4人の存在感だ。この数年間で経験を積んできた彼らが勝負所を見極め、その状況・場面に応じたプレーができていることも要因のひとつだと思っている。


◆ 恐怖の6番、7番

 中村と井上は、井口監督就任1年目の18年に「3番」と「4番」を打っていた。今季は中村が「6番」、井上が「7番」に座っているが、井上、中村ともに4番・レアードに次ぐ、チーム2位タイの7打点をマークし、クリーンナップの後のチャンスでしっかりとその役割を果たしている。

 6月23日のオリックス戦は、1点を追う9回に岡大海、和田康士朗の“好走塁”が光ったが、ふたりの働きも印象深い。中村奨は無死二塁からディクソンのインコースの難しいナックルカーブを強引にセカンドへゴロを打ち、二塁走者の岡を三塁へ進めた。ここで得点圏打率リーグトップの「.600」をマークする7番・井上が、三塁線を破るレフト前ヒットで、岡が同点のホームを踏み、その後、荻野貴司の押し出し死球でサヨナラ勝ちを収めた。

 中村は進塁打や送りバントで走者を進めるだけでなく、25日の試合では満塁本塁打を放つなど、その状況に応じた打撃でチームの得点に繋げている。井上も「(打点が)チームに一番貢献度が高いと思うので、ホームラン王もですけど、打点王もチームにとっていいことだと思う。狙っていきたい」と春季キャンプ中に話していたように、ここまでは好機で結果を残している。


◆ チーム防御率はリーグトップ

 種市篤暉が先発した2試合と岩下大輝が先発した試合はベンチスタートだったが、正捕手・田村龍弘の存在も大きい。

 田村は昨年の10月末に、「今年(2019年)は正直、大型連勝もしなかったし大型連敗もしなかった。勝てる試合といったらおかしいですけど、もう一踏ん張りすればという試合が多かった。取りこぼしをしないようにしないといけない」と話していたが、ここまではしっかりと投手陣を引っ張り、チームを勝利に導いている。12球団トップのチーム防御率「2.61」が何よりの証だろう。

 28日のオリックス戦は、先発・美馬が初回に3点を失い、序盤は変化球がやや高めにいく苦しい投球のなかでゲームを作ったのは、美馬の修正力だけでなく、捕手・田村のリードも大きかったように思う。

 打撃でも同日のオリックス戦で、0−3の2回無死満塁で山本由伸から2点適時打、続く4回二死一塁の第2打席、低めのボールは見逃し、ファウルで粘り四球を選び、藤岡裕大の適時打に繋げた。さらに4−3の6回二死一三塁の場面では、沢田圭佑からこの日2本目となる適時打を放つなど、勝負強い打撃を見せている。


◆ 攻守に成長

 開幕から『9番・ショート』で先発を続ける藤岡裕大は、打率こそ.214(28−6)だが、昨季までに比べて攻守の両面において成長を感じる。

 そのなかでも、勝負所で印象に残る一打が多い。26日のオリックス戦では、2−5の8回に2点を返し、なお一二塁の好機で藤岡は前進守備の外野の頭を越す左中間へ、逆転の2点適時二塁打。28日のオリックス戦でも、3−3の4回二死一二塁の場面で、山本由伸から一時勝ち越しとなる適時打を放った。

 イニングの先頭打者としても、今季チーム初勝利を挙げた20日のソフトバンク戦、1−1の8回、2番手・松本裕樹に簡単に2ストライクと追い込まれるも、ここから4球連続でボールを選び四球で出塁。レアードの打席中にワイルドピッチで、勝ち越しのホームを踏んだ。ドラフト2位ルーキー・佐藤都志也がサヨナラ安打を放った27日のオリックス戦も、1−1の延長10回に先頭打者として、14球粘った末に四球を選んだのも藤岡だった。

 守備でも昨季までは抜けていたような打球を処理し、しっかりとアウトにする場面が増えたようにも見える。

 投打が噛み合い7年ぶりに8連勝を挙げ、首位を走るマリーンズ。長年チームを支えた福浦和也が現役を引退し、近年チームの中心だった鈴木大地、涌井秀章が移籍、転換期を迎え、生まれ変わろうとしている。

 当然、若手の台頭、新戦力の活躍なども必要だが、その上で井上、中村、田村、藤岡の4人がシーズン通して中心選手としての働きができるようなら、悲願のリーグ制覇もより現実味を帯びてくるのではないかと思っている。


文=岩下雄太