◆ 大阪に並ぶ野球王国!

 プロアマ野球研究所(PABBlab)では今年5月、全国の強豪校出身選手でベストナインを選出する記事を本サイトに寄稿したところ、大きな反響があった。

 そこで、ここではその『ベストナイン』企画の続編として、都道府県単位に対象を広げてベストナインを選出してみようと思う。なお、投手については候補が多いため、プロ野球のオールスターファン投票と同様に先発・中継ぎ・抑えの3部門に分けた。

 第2回で取り上げるのは、大阪に並ぶ野球王国である“愛知”。ちなみに、今回も出身地ではなく、あくまでも「愛知の高校出身」の選手から選出している。


◆ 「愛知の高校出身者」ベストナイン

<先発投手>
金田正一(享栄商)
[通算] 944試(5526.2回) 400勝298敗 防2.34

<中継ぎ投手>
浅尾拓也(常滑北)
[通算] 416試(505.1回) 38勝21敗23セーブ・200ホールド 防2.42

<抑え投手>
岩瀬仁紀(西尾東)
[通算] 1002試(985.0回) 59勝51敗407セーブ・82ホールド 防2.31

<捕手>
木俣達彦(中京商)
[通算] 2142試 率.277(6762−1876) 本285 点872 盗20

<一塁手>
杉浦 享(愛知)
[通算] 1782試 率.284(5056−1434) 本224 点753 盗109

<二塁手>
井上 登(岡崎)
[通算] 1506試 率.265(4980−1322) 本111 点570 盗151

<三塁手>
安居玉一(東邦商)
[通算] 1392試 率.267(4854−1298) 本70 点569 盗116

<遊撃手>
杉浦 清(中京商)
[通算] 899試 率.255(3316−846) 本125 点493 盗78

<外野手>
イチロー(愛工大名電)
[日米通算] 3604試 率.322(14832−4367) 本235 点1309 盗708

山内一弘(起工)
[通算] 2235試 率.295(7702−2271) 本396 点1286 盗118

稲葉篤紀(中京)
[通算] 2213試 率.286(7578−2167) 本261 点1050 盗74

<指名打者>
山崎武司(愛工大名電)
[通算] 2249試 率.257(7148−1834) 本403 点1205 盗14


◆ その他の候補

<投手>
野口二郎(中京商)
[通算] 517試(3447.1回) 237勝139敗 防1.96

杉浦 忠(挙母)
[通算] 577試(2413.1回) 187勝106敗 防2.39

工藤公康(名古屋電気)
[通算] 635試(3336.2回) 224勝142敗3セーブ・10ホールド 防3.45

槙原寛己(大府)
[通算] 463試(2485.0回) 159勝128敗56セーブ 防3.19

<捕手>
山倉和博(東邦)
[通算] 1262試 率.231(3608−832) 本113 点426 盗27

<外野手>
平野 謙(犬山)
[通算] 1683試 率.273(6524−1551) 本53 点479 盗230

赤星憲広(大府)
[通算] 1127試 率.295(4330−1276) 本3 点215 盗381

大島洋平(享栄)
[通算] 1313試 率.286(5039−1442) 本31 点288 盗217
☆現役
※成績は昨シーズン終了時点


◆ 400勝に200ホールド、そして407セーブ…

 投手は先発に400勝の金田、中継ぎに200ホールドの浅尾、抑えに407セーブの岩瀬という、超豪華な顔ぶれが並んだ。総合的に見ると、全国でも間違いなくNo.1の投手陣と言えるだろう。


 金田は400勝・4490奪三振・365完投など、実に10以上のNPB記録を誇る。今後、革命的な投手起用法の変化や、大幅なルール変更がない限り、その多くの記録は更新が難しいものばかりである。

 浅尾は無名の高校〜大学でプレーしながらも着実に力をつけ、プロでその才能が大きく開花した。2010年には、現在もNPB記録のシーズン47ホールドをマークし、翌2011年にも45ホールド・防御率0.41という驚異的な数字を残して、中継ぎ投手としては史上初となるシーズンMVPにも輝いている。それ以降は成績を落としたが、そのピッチングは多くのファンの記憶に残っているだろう。

 そして、抑えの岩瀬は1002試合登板・407セーブという2つのNPB記録を持つ現代の鉄腕だ。大学〜社会人を経てのプロ入りであり、当初は中継ぎだったことを考えると、いかに長く高い水準の投球を維持してきたかがよく分かる。全盛期の真横に鋭く変化するスライダーは、分かっていても打てない必殺のボールだった。


 投手は他にも南海のエース杉浦、名球会入りした工藤、巨人の3本柱として活躍した槙原など、実力者が揃った。また、現役では日本のエース格である千賀滉大(ソフトバンク)も愛知の公立・蒲郡高出身であり、今後さらなる飛躍が期待される。


◆ 内野はやや苦戦…?

 木俣はセ・リーグにおける強打の捕手の草分け的存在。1969年〜1970年には2年連続で30本塁打以上を放ち、1974年にはリーグ2位の打率.322をマークしている。惜しくも通算2000本安打には届かなかったが、通算285本塁打は捕手としては歴代4位の数字である。

 杉浦享は外野手としてのプレーが多かったが、編成上ファーストで選出した。ヤクルト一筋で23年間プレーし、1992年の日本シリーズでは代打サヨナラ満塁ホームランを放つなど、晩年は代打の切り札としても活躍した。

 井上は中日の黎明期を支えた強打の二塁手。5度のベストナインに輝き、引退後も長くコーチ、二軍監督などを務めている。

 安居は外野と一塁を守ることが多かったが、実績ある選手の少ないサードでの選出に。旧制中学時代は東邦商(現東邦)のエースとして選抜中等学校野球大会で優勝を果たし、プロ入り後は野手に転向すると太平洋戦争を挟んで長く活躍した。

 杉浦清は明治大卒業後に旧制海草中学(現向陽)の監督として、伝説の名投手・嶋清一を擁して甲子園優勝。その後、太平洋戦争を経て、32歳となる年にプロ入り。すぐに選手兼任監督となったという、今では考えられない経歴の持ち主だ。1948年に記録した、ショートとしての「シーズン502補殺」は源田壮亮(西武)に破られるまで70年間プロ野球記録だった。


◆ 外野には日本が誇る世界の安打製造機

 外野手の筆頭は、何といってもイチローだ。残した記録について、いまさら説明するのも憚られるが、総合力で言えば日本野球史上最高の野手であることは間違いないだろう。

 山内は毎日〜阪神〜広島で長く主砲として活躍し、打撃タイトルを7度獲得。引退後は多くの球団で監督、コーチも務めている。

 稲葉は大学時代までは高い評価を受けていた選手ではなかったが、野村克也監督(当時)の推薦でヤクルトに入団すると、早くからレギュラーに定着。FAで日本ハムに移籍後も打撃に磨きがかかり、2007年には35歳という年齢で首位打者と最多安打のタイトルも獲得している。


 愛知の高校野球と言えば、全国最多の甲子園優勝回数を誇る中京大中京の名前が真っ先に出てくるが、こうしてベストナインを選んでみると、実に様々な学校出身の選手がいることがよく分かる。

 常滑北、西尾東、起工、犬山、蒲郡(千賀の母校)などは県内でも決して強豪ではないが、そのような学校から球史に残る選手が輩出されているというのも、愛知の特徴と言えるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所