3年ぶり9度目の大役を担う

 あらゆる苦難も、豊富な経験を武器に越えていく。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕戦が延期。開幕投手に決まっていた40歳の石川雅規は、表情を変えずに心境を口にした。

「気持ちを保ちつつ、この時間を有意義に使いたい。(開幕戦に)万全の状態で臨めるようにやっていくしかない。臨機応変に対応していくしかないのかなと。開幕投手は全員、同じ条件ですし」

 チームの柱として、ブレるわけにはいかない。今季プロ19年目のベテラン左腕は、春季キャンプ中の実戦から結果を残し続け、3月1日の春季教育リーグ、巨人戦(戸田)で4回3安打無失点と好投。29歳の小川泰弘、22歳の左腕・高橋奎二との争いに勝ち、3年ぶり9度目の大役を手にした。

 指名した高津臣吾監督は「もちろん勝てると思っているから、勝ちたいから最初に彼を持っていった。そこになんの揺らぎもないし、信頼して送り出します」と、選んだ理由と懸ける思いを明かした。昨季まで積み上げてきた通算勝利数は、現役最多の171。必ず来たるその日に向けて、石川自身も思いをたぎらせる。

「(聞いた瞬間は)武者震いしたというか。任せられたからには逃げずに攻めたい」。9年前。東日本大震災が起こり、2011年にも開幕が遅れたが、その際に開幕投手を務めたのも石川だった。非常事態にも「万全の状態で臨めるようにやっていくしかない」。意気込む不惑の左腕が、開幕に最高の状態でマウンドに上がる。

写真=小山真司