好不調の波はあるものの、シーズン最終盤、一軍で奮闘する杉山

 剛腕のイメージとは直接結びつかない、それは目立たない記録だった。10月7日、敵地・メットライフでの西武戦。2年目の右腕・杉山一樹は、2点差に迫られた3回一死一、三塁で先発の笠谷俊介をリリーフ。この日最速の155キロで滑り出すと、スパンジェンバーグからは高め151キロの直球で空振り三振を奪い、続く山川穂高にはフォークを振らせて2者連続奪三振と火消しに成功した。

 6回まで自己最長の3回2/3を投げ、失点はメヒアのソロによる1点。プロ初勝利の可能性もあった。「どんな状況でもゼロに抑えることだけを考えていた。ホームランを打たれたボールは完全に失投」。チームが逆転負けを喫しただけに喜べるはずもなかったが、杉山にはプロ初のホールドが記録されていた。

 三菱重工広島からドラフト2位で入団した昨季は、期待を背負って春季キャンプA組(一軍)スタート。剛速球と得意のスライダーが活躍を予感させた。しかし、キャンプ中に右足首のじん帯を痛めて予定に大きな狂いが生じると、肩の不調もあって、実戦からは長く遠ざかることに。結局、一軍登板は2試合止まりで、勝敗も何もなく防御率9.00だった。

 一方で、同期のドラ1・甲斐野央がリリーフとして大ブレークする姿に、「うれしいけど悔しさはその倍」。オフにプエルトリコのウインター・リーグに派遣され武者修行し、自主トレでは千賀滉大に弟子入りした。その千賀をして「超されました」と言わしめたのがポテンシャルだ。工藤公康監督ら首脳陣も定点観測を続ける中、ファームでは先発も経験。力を蓄えた。今季初登板した7月には自己最速に並ぶ157キロ。終盤戦で再び一軍に呼ばれた。遠回りしたが、歩みは確実に、力強くなっている。

写真=BBM