今年は3人がMLB挑戦



巨人からブルージェイズに入団した山口俊

 今シーズンもメジャー・リーグ(MLB)へ日本人選手が挑戦する。シーズン最多安打記録を持つ安打製造機の秋山翔吾外野手が西武からレッズ、10年で通算205本塁打をマークした大砲の筒香嘉智内野手がDeNAからレイズ、昨年の最多勝、勝率、奪三振の3冠に輝いた山口俊投手が巨人からブルージェイズにそれぞれ移籍。侍ジャパンでも主軸となった日本を代表するプレーヤーの本場での奮闘ぶりが注目を集めそうだ。

 3人の契約内容は、秋山が3年で2100万ドル(約22億8000万円)、筒香が2年で1200万ドル(約13億1000万円)、山口が2年で635万ドル(約7億円)。和製野手のメジャー挑戦は、二刀流としてエンゼルス入りした大谷翔平を除くと、青木宣親、川崎宗則、田中賢介の3選手以来6年ぶりとなる。

 制球力を武器とする日本の投手は比較的メジャーでも対応しやすいが、野手は苦しむケースが過去に多い。特に長距離打者はパワフルな選手が相手だけにスタイルを保ちつつ数字を残すのが難しく、日本で通算332本塁打をマークした松井秀喜外野手でさえも苦労した。久しぶりのホームランバッターとして海を渡る筒香は、反対方向の左中間にも大飛球を打てる。どのような打撃を見せてくれるかが見どころとなりそうだ。

 メジャーのチームにとって、大手スポンサーや大勢のファンを引き連れてくる日本の選手は、マーケティングの観点から「おいしい存在」だった。しかし、近年ではメジャーサイドの見方も微妙に変化。どの球団も選手の特性を細かく見極め、純粋な戦力としての決断に傾きつつある。

 レッズは昨季、出塁率と総得点がともにナショナル・リーグで12位。日本で通算.376の出塁率を残す秋山にチャンスメーク役として白羽の矢を立てた。チームにはニック・センゼル外野手や、前カブスのニコラス・カステラノス外野手らパワフルなポイントゲッターがいる。デービッド・ベル監督は、「得点を増やすために打線の上位に入ってほしい」と熱望。MLBの最多安打記録を持つピート・ローズを一番に据えて70年代に圧倒的な強さを誇った「ビッグレッドマシン」の再来を狙っている。

 レイズは筒香の内外野とも守れる器用さに注目。指名打者(DH)など幅広く起用できることが、獲得のアドバンテージとなった。筒香は「長打がベストだが、いろんな貢献の仕方がある。長打だけとは思っていない」と発言。本塁打だけにこだわらない柔軟な姿勢が、成功への可能性を広げている。

MLBのさまざまな歯車として活用


 筒香同様、山口もそのユーティリティー性がブルージェイズに高く評価された。昨年、15勝を挙げたエースは、かつてはクローザーとして09年から4年連続で2ケタセーブをマーク。12年は22セーブで防御率1.74と抜群の安定感を示した。新天地では地元メディアから先発の4、5番手候補として挙げられているが、ブルージェイズのマーク・シャパイロ球団社長は山口の「万能性」を高く評価。先発が短いイニングを投げて後続につなぐオープナーなど、起用法の多様化が目立つメジャー・リーグでは、山口の経験が大いに生きそうだ。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やプレミア12など野球の国際化が進み、日本のプロ野球の露出も増大。大会中はネット裏でメジャー球団スカウト陣が熱い視線を送るなど、調査も真剣になってきた。メジャー関係者は日本野球のレベルの高さを認め、メジャーのさまざまな歯車として活用しようとして、「本気」になってきたということだろう。

 日本人メジャーの誕生は今後も加速しそうだ。一方、今季からオリックスにメジャー通算282本塁打のアダム・ジョーンズ外野手が2年契約で総額800万ドル(約8億7200万円)プラス出来高払いで加入。日本でプレーする外国人を「助っ人」と呼ぶのは過去のものとなり、令和は日米の流動化と双方向性が進み、ボーダレスの時代となりそうだ。

写真=Getty Images