今季から背番号19に変更した山岡は、3月20日開幕予定の当初は開幕投手にも決まっていた

 自らの立場は理解している。だから、チームの誰よりも責任感は強い。

 2018年オフ、金子千尋(現弌大)、西勇輝の先発2本柱が移籍し、投手陣の若返りが急速に進む中で“投手リーダー”に指名された。「僕に、みんなを引っ張ることは求められていない」と話す右腕だが、意識したことが1つ。それは、“簡単な一言”による声かけだ。

「打たれたときに『あの場面だけだったね』とか『もう1イニング投げたかったね』とか、簡単な一言をかけるようにはしたんです。僕の1年目、2年目(17、18年)は、その声かけが少なった気がして。結果が悪くても『仕方ない』という雰囲気になっていた。それをなくしたかったんです」

 近年はメジャー・リーグで用いられる先発投手の指標である“6回3失点以内”のクオリティー・スタート(QS)が日本にも浸透しつつあり、その数値がノルマになっている節は否めない。そうした風潮にも右腕は首をかしげる。

「QSにしても、その指標をクリアすれば良いわけじゃない。6回3失点でも負けるときはある。それは『ナイスピッチング』ではないんです。だって負けているんですから。だから、3失点したら、なぜ3失点したのかを考えなくちゃいけない。負けたけど、指標はクリア。だから『仕方ない』ではダメなんです」

 自分自身に言い聞かせいることでもあるが、チームが同じ意識を持たなければ、長いシーズンで、勝ちを重ねることはできないと心得る。その思いから“簡単な一言”を始め、チームの意識が変わったきたことを実感している。

「去年のシーズン中から徐々に負けた翌日に『ドンマイ』『打線の援護がなかったから仕方ない』という声がなくなったんです」

 チームの勝敗を背負い、先発のマウンドに上がるからこその責任感。その意識を持てば、仮に結果が悪くとも次に生かすことができる。そうして、若手主体の投手陣に前を向かせていった。

 試合以外の面からにじみ出る強い責任感。さらに、日本代表での体験で、再確認したこともある。昨年11月のプレミア12に出場した右腕は全8試合のうち、4試合に救援登板。シーズンは先発を務めた男が、中継ぎの大変さをあらためて感じたという。

「試合展開次第で、いつ投げるか分からない。それも連日。先発なら、決まった日に合わせて調整できますし、登板が終われば翌日の登板は基本的にない。体の面でも、精神的にも中継ぎの方の大変さが分かったんです」

 だからこそ、今季の目標に掲げる数字がある。それが投球回200イニングだ。

「できるだけ中継ぎの方を休ませられるように。『今日は山岡だ。出番はない』と思ってもらえるだけでも、精神的な負担は減る。中継ぎの方に助けてもらったことは何度もあった。今度は自分が助けていきたい」

 昨季までの入団3年間は、いずれも規定投球回をクリア。4年目の今季は、その先を目指す。それは決して自分自身のためではない。チームのことを思い、そして5年ぶりのAクラス、さらには24年ぶりのリーグ優勝を目指すからにほかならない。

 開幕延期で、プロ4年目のスタートへの調整が続くも、強い責任感を持つ右腕に心配はない。新型コロナウイルス感染拡大が終息したあと、今季のオリックスのマウンドには、誰よりも長く背番号19が立っているはずだ。

写真=BBM