ユニフォームがはち切れそうなほどのフルスイング。近大・佐藤輝明は逆方向にもライナーで運べるパンチ力を誇り、ソフトバンク・柳田悠岐の大学時代に匹敵するも言われる

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、緊急事態宣言が5月末まで延長。NPBスカウトも各球団が活動自粛を継続している。

 実際にグラウンドで視察したのは、3月末が最後だという。あるスカウト幹部は、大型三塁手の昨秋からの成長を実感した。あの弾道は、脳裏にしっかりインプットされている。

 近大・佐藤輝明(4年・仁川学院高)だ。

 右投げ左打ち。規格外の飛距離を誇り、写真を見ても、その力強さが伝わってくるだろう。ポテンシャルの高さから、近大の先輩である「阪神・糸井嘉男二世」と言われている。

 大学2年時に侍ジャパン大学代表入り。11月の明治神宮大会では逆方向に一発を放ち、早くも「2020年の目玉」と騒がれた。鋭い弾道はソフトバンク・柳田悠岐の大学時代に匹敵するとも言われている。

 昨年は春、秋とも関西学生リーグ戦で優勝を逃し、大学日本代表入りもならず、不本意なシーズンを送った。昨秋は右ヒジ痛の影響で一塁を守ったが、今春は本来のホットコーナーに戻る予定であった。

 冬場はストイックなまでに練習に打ち込み、その成果を前出のスカウト幹部の前で発揮。大きな可能性を感じているという。

「打撃の不安定さがなくなりました。三塁守備もスローインが良い」

 近大は4月3日の時点で、5月31日までの活動停止を発表している。現在、佐藤は自宅におり、思うように体を動かせない日々が続いているが、活動再開以降、パワーアップして戻ってきそうな気がする。

 高校時代は無名の存在だったが2年冬、友人に誘われ、ウエート・トレーニングに目覚めると、劇的な変化を遂げた。高校通算20本塁打だが、そのほとんどを3年春以降に量産。野球の面白さを知り、より真剣に取り組むようになった。努力する「楽しさ」を知っている。その「成功体験」があるからこそ、可能な範囲で体をいじめ抜いているはず。リーグ戦開幕のメドは立っていないが、試合さえ始まれば、間違いなく頭一つ抜けた存在となる。

 関西学生リーグ戦で通算11本塁打を誇る左のスラッガーは将来、メジャー・リーグでのプレーも夢見るほど、意識が高い。

 2020年のスカウト戦線において高校生、社会人を含めても「野手No.1」の評価は揺るぎない。ドラフトとは毎年、好投手に人気が集中する傾向にあるが、佐藤のような素材は毎年出てこない。また、ここ数年、1位指名が多かった高校生も実戦の機会が少なく、上位指名に踏み切るのは難しい状況にあるとも聞く。球団の補強ポイントに合致さえすれば、「糸井二世」がドラフト1位で指名される可能性は十分ありそうだ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎