2020年夏。甲子園出場をかけた「地方大会」は開催されないが、全国の47都道府県高野連が独自で運営する「代替大会」が実施される

 第102回全国高等学校野球選手権大会(甲子園)の代表校を決める49地区の「地方大会」の中止を受け、各都道府県高野連主催の「独自大会」(47連盟49大会)が協議され、すでに開幕している地区もある。

 そこで、興味を惹かれるのが「大会名」である。そのネーミングから47都道府県高野連の「独自性」が見えてくるからだ。

 まずは、年度を「令和2年」とするのか、それとも、西暦を前面に出して「2020年」とするのか。ほぼ二分したように思われる。

「甲子園」を目指す夏が消滅した中でも、足跡を残す集大成の大会にしてほしい――。

 最も強いインパクトを受けたのは「がんばれ福岡2020」だ。福岡県高野連は、一度は開催断念を発表したが、さまざまな情勢もあり一転して、4地区によるトーナメントを実施する方針転換。なお、「がんばれ福岡2020」の後に福岡中央地区高等学校野球大会、北九州地区高等学校野球大会、福岡地区高等学校野球大会、筑後地区高等学校野球大会がつく。3年生は現実として、振り回される形となったが、中止よりも開催のほうが良いに決まっている。感情が込められたこの大会名に、球児へ向けたメッセージ性を感じる。

 山口県高野連の「やまぐち高校生2020メモリアルカップ夏季高校野球大会」も、大会主催者側からの強い思いが届いてくる。富山県高野連は「TOYAMA2020高等学校野球大会(硬式)」と欧文を使用しているので、目に入ってきた。

「優勝」という言葉を使った徳島県高野連の「徳島県高等学校優勝野球大会」も印象深い。「全国高等学校野球選手権大会」の前身は「全国中等学校優勝野球大会」で、この二文字からトーナメントのステータスを感じるのだ。

 佐賀は「SAGA2020 SSP杯佐賀県高等学校スポーツ大会(野球競技)」として開催される。佐賀県高等学校体育連盟、佐賀県高等学校野球連盟、佐賀県、佐賀県教育委員会が主催。インターハイ(全国高校総体)の代替大会でもあり、県全体が一枚岩となって、高校生のための「特別な夏」を準備している。

 トーナメントだが、8強を決めた段階で大会を終える栃木県高野連は「2020年栃木県高校野球交流試合」で、8地区で行われる京都府高野連は「令和2年度夏季京都府高等学校野球ブロック大会」。こうして眺めているだけで、各都道府県高野連の関係者が開催へ向けて尽力してきた熱意が見えてくる。高校球児はアルバムの1ページにこの大会名を記し、3年間の活動に一区切りをつけるのだ。

文=岡本朋祐 写真=太田裕史