ドジャースのジャンセンはチームに合流してから新型コロナ感染を公表するなど、各球団マチマチ。ただ開幕した今、どれだけ統一した対策が取られるかが、感染拡大を防ぐカギになる


 レッドソックスのスラッガー、JD・マルチネスがこう指摘している。「今季の勝利のカギはどのチームが一番感染を防げるか? スター選手を2、3人失ったチームは厳しくなる」。7月初めMLBのキャンプに選手が集まったとき、レポートデーのテストで選手58人、スタッフ8人が陽性だった。

 全3748件のサンプルの1.8パーセントだった。例えばレッズのデレク・ディートリッチ内野手は6月キャンプ地グッドイヤーの施設で練習を続け感染していた。ロッキーズのチャーリー・ブラックモン外野手はジョージア州に住んでいるが、シーズンに備えるべく本拠地クアーズ・フィールドで練習して感染した。

 人数が少ないと球団にも油断があったのだろう。ブラックモンは症状がひどく、熱が出て、頭痛がし、咳が出て、体の痛みを感じたと言う。3週間の長い隔離生活だった。そのほかブレーブスのフレディ・フリーマン、ドジャースのケンリー・ジャンセンらが感染していた。MLB球団は選手のプライバシーを尊重し、感染者の名前を明かさなかった。

 取材者は通常のキャンプであれば誰が来ていないかはすぐに分かるのだが、今回は各チーム「密」を避けるために選手を2つのキャンプ地に分け、その上で細かくグループ分けで練習させているため、簡単には判明しない。数日して「〇〇はどうしているのか?」と監督に質問。監督は「キャンプ地には来ていない。理由は言えない」と返答するパターンだった。

 中にはフリーマンのようにすぐに公表した選手もいたが、ドジャースのジャンセンのように合流してから公表、記者たちに経緯を説明するパターンもあった。感染した選手が復帰するには、24時間以上間を空けた2度のテストで陰性結果が出て、過去72時間熱や咳など症状が出ておらず、抗体テストも受け、超音波心臓検査図で心臓の状態もチェックしないといけない。

 その上で球団の医師、MLB機構、選手会のコミッティの認可を得ないといけない。煩雑な手続きだが、こうすることでチーム内を安全に保てる。キャンプ開始後は、MLBの定めた健康と安全を守る101ページのガイドラインを全員が遵守し、身体は守られるはずだ。

 しかしながらショックなことに、練習開始から1週間で、新たに13人の選手、4人のスタッフに陽性反応が出た。ヤンキースの守護神アロルディス・チャップマンもその一人だった。選手は2日に1度のテストを受けるため、1週間のテストの総回数は7401回。陽性率は0.22パーセント。よく抑えているとも言えるが、完璧でもない。

 リスクを恐れ、ドジャースのデビッド・プライス、ブレーブスのニック・マーケイキス、ジャイアンツのバスター・ポージーらはオプトアウト(出場辞退)を選んだ。シーズンが始まって遠征で移動することになればより感染リスクが高まる。今全米では新規感染者が日に6、7万人、死者も1000人を越える日があり、蔓延している。

 エンゼルスではキャンプ開始時のミーティングで「今季はレストランで食事をしない、バーで飲まない、大勢が集まるところには行かない」で全員が合意した。チーム内で感染者を増やさないことが勝利の条件だが簡単ではない。