昨シーズン、5年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人。その要因の一つが機動力だ。原辰徳監督が積極的な盗塁を指示したことで盗塁が増え、終わってみればチームの盗塁数はリーグ2位の83。積極的に先の塁を狙う姿勢が勝利につながった。では今シーズンはどうなのだろうか?

原監督復帰で再び盗塁数が増加



現在、チーム1位の盗塁をマークしている増田大輝

 そもそも、巨人といえば「盗塁をしないチーム」というイメージを持っている人も多いのではないだろうか。実際、平成に入ってからは、シーズンによるものの、チーム盗塁数は50個前後で推移。70を超えることもあったが、わずか29盗塁だった1994年など、非常に少ない年も目立つ。

 しかし、2006年以降は原が監督に復帰し、機動力を重視する方針を打ち出したことで盗塁数が急増。2011年、2012年は年間盗塁数が100を超えている。2011年には、藤村大介が1993年の緒方耕一以来となる最多盗塁のタイトルを獲得した。

 2005年から2019年までの巨人のチーム盗塁数を以下にまとめてみた。

2005年 38盗塁(リーグ5位タイ)
2006年 73盗塁(リーグ2位)
2007年 63盗塁(リーグ4位)
2008年 78盗塁(リーグ2位)
2009年 84盗塁(リーグ2位)
2010年 96盗塁(リーグ2位)
2011年 106盗塁(リーグ1位)
2012年 102盗塁(リーグ1位)
2013年 90盗塁(リーグ2位)
2014年 102盗塁(リーグ1位)
2015年 99盗塁(リーグ1位)
2016年 62盗塁(リーグ4位)
2017年 56盗塁(リーグ4位)
2018年 61盗塁(リーグ5位タイ)
2019年 83盗塁(リーグ2位)

 先述のように、原が監督に就任した2006年から盗塁数は急激に増加している。しかし、2015年に原が勇退し、高橋由伸が新監督に就任してから再び盗塁数は低下。2016年、2017年のチーム盗塁数はリーグ4位。2018年はリーグ5位タイと少なくなった。その後、2019年に原が指揮官に復帰すると、再び盗塁数はリーグ2位まで増加した。

今年も「走れるチーム」なのか


 さて、2019年はチーム盗塁数がリーグ2位まで増加した巨人だが、今シーズンのチーム盗塁数はというと、2020年8月12日時点で25盗塁。阪神の36、ヤクルトの29に次いでリーグ3位だ。盗塁を成功させている選手は以下のとおり。

増田大輝 9盗塁
吉川尚輝 4盗塁
坂本勇人 3盗塁
丸佳浩 3盗塁
重信慎之介 2盗塁
陽岱鋼 1盗塁
ゼラス・ウィーラー 1盗塁
田中俊太 1盗塁
湯浅大 1盗塁

 現在チームトップは増田の9盗塁。阪神の近本光司の13盗塁に次いでリーグ2位だが、なんとすべて「代走」で記録したというから恐れ入る。さらに盗塁成功率はリーグトップの.818。これまでに「代走のみで最多盗塁のタイトルを獲得した選手」はいないが、近鉄の藤瀬史朗が記録した代走での25盗塁を更新する可能性はあるだろう。

 増田は好調だが、それ以外はやや物足りない数字だ。例えば2013年にリーグ最多盗塁を記録し、以降は常に2ケタ盗塁を記録し続けている丸は現在3盗塁と苦しんでいる。昨季14盗塁の重信も、今年は打撃不振で出場機会が減り、盗塁数を伸ばせていない。昨年、チームを優勝に導く要因でもあった機動力が、今年は陰りを見せているのだ。

 とはいえ、盗塁数が伸びなかった2016年〜2018年と比べて走るチームになったのは確か。今後、チーム盗塁数を増やすカギとなる選手は、やはり丸と重信だろう。また、調子の波があるものの、今シーズンは打撃好調の吉川尚輝も盗塁が期待できる選手だ。彼らの奮闘次第で、昨シーズンの83盗塁を上回る可能性は十分にある。

 巨人は8月12日時点で43試合25勝15敗3分でリーグ首位。坂本と丸というチームの要の調子が上がらないものの、好調の岡本和真がけん引する打線は今年も健在。投手陣もチーム防御率リーグトップと、新型コロナの影響で調整が難しい年ながらも「強さ」を見せている。リーグ首位の座を盤石のものにするためにも、今年も「快足ぶり」を見せてもらいたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM