開幕から約3カ月、ようやく一軍昇格を果たした伊藤裕季也

 チャンスは突然、舞い込んだ。大和が自打球を受け左膝膝蓋(しつがい)骨挫傷により戦線を離脱。9月16日のヤクルト戦(神宮)から2年目の伊藤裕季也が今季初めて一軍に呼ばれた。

 一軍合流がここまで遅れるとは、本人をはじめ周囲も予想していなかったに違いない。春季キャンプの時点で、伊藤裕季也はセカンドのレギュラーを争う存在として、大きな期待を寄せられていた。「打撃ですね。長打力を生かして競争に勝っていきたい」と今季への思いを熱く語った宜野湾の一軍キャンプでは、弱点である守備を克服しようと遅くまでノックを受ける姿があった。

 オープン戦でつまずいた。アピールすることを意識すればするほど、打撃は空回り。11試合で打率.150の不振で二軍行きが命じられた。コロナ禍で遅れて開幕したシーズンもファームが主戦場となった。ベイスターズのセカンドのポジションには、2年連続の本塁打王のソト以外に、打撃好調の倉本寿彦、柴田竜拓も控え、レギュラー争いに入り込む余地はなかった。

 それでも伊藤裕季也はファームでバットを振り続け、イースタン・リーグでは48試合に出場して打率.255。「必要以上にホームランを狙わない」とは言うものの、本塁打も蝦名達夫、細川成也の6本に次ぐ、5本をマークしている。

 プロ1年目の昨季は、初スタメンの試合(2019年8月10日、中日戦=横浜)で2本塁打を放って度肝を抜いた。伊藤裕季也の「赤バット」が火を噴けば、強力打線はさらに勢いづく。与えられたチャンスは確実に生かしていきたい。

 シーズンは残り約40試合。巻き返しは十分に可能だ。

文=滝川和臣 写真=BBM