9月27日、ヤクルト戦(神宮)の8回裏に登板し打者3人に対し12球中11球のストレート系を投げた藤浪。マックスは153キロ

 阪神にとっては緊急事態。新型コロナウイルス感染者が出たことで9人の選手が9月25日に緊急昇格となった。その中で、今季先発として復帰を目指す藤浪晋太郎投手も招集された。しかも中継ぎとして……。9月26日のヤクルト戦(神宮)で中継ぎのマウンドに上がる。すると「中継ぎの藤浪」がどういう投球をするのか、という期待感が来場したファンの大きな拍手になった。

 この試合で村上宗隆に痛い一発は打たれ惜しくも敗戦投手に。しかし翌27日の同戦の8回裏に2試合連続登板。登板前ブルペンで投球練習を始めるとブルペン近くの多くのファンが、試合ではなく藤浪の投球にカメラを向けた。多くのファンが藤浪に注目し、期待している表れだろう。

 藤浪は、1イニングを12球1安打無失点だったが、その12球のうち11球が藤浪の持ち味のひとつである150キロを超える真っすぐ系のボールを投げ込んだ。先頭打者の宮本を追い込んでからフォークを投げたが、それ以外はすべてストレート系。今季、ストレート系のストライク率は今季65パーセントだが、この日は約82パーセントを叩き出した。その真っすぐで打者に対し真っ向勝負で打者に挑む。1本のヒットは許したが、青木には真っすぐで押したことで併殺打となり、3人で攻撃を斬った。

 藤浪の真っすぐはテレビで見ていても速いが、実際に球場で見るとその威力は観客を圧倒するものがある。実際に球場で見た人でないと分からない感覚だ。今回の緊急事態の中で、中継ぎスタンバイとなった。中継ぎで投げていく間は、もしかしたら球場に行けば藤浪の投球が見られるかもしれない、あの強い真っすぐが見られるのではと、ワクワク感をふくらませるファンも多いのではないか。一方、藤浪も短いイニングで打者と対戦していくことで、もしかしたら投球のいい感覚をもう一度つかむかもしれない。そういう好循環が生まれそうな、気迫ある2連投だった。

写真=井田新輔