新郎との最後の1枚――亡くなった婚約者との結婚写真が話題に

新郎との最後の1枚――亡くなった婚約者との結婚写真が話題に

一見すると、愛らしい普通のウェディング・アルバムだ。涙ぐむ両親、緊張する花嫁に化粧をする友達、はしゃぐ子どもたち。

しかしよく見てみてみると、誰かが足りないとはっきりしてくる。

新郎のケンダル・マーフィーさんは、この9カ月前に亡くなった。ジェシカ・パジェットさんは1人、ウェディング・ドレス姿で米国インディアナ州にあるマーフィーさんの墓の隣にいる。

これより数年前にさかのぼる、パジェットさんとマーフィーさんの婚約の話はまるでハリウッドのロマンチック・コメディ映画のようだった。

2人は約10キロ離れた場所で育ったが、大学に入るまで会ったことすらなかった。

アメリカン・フットボールの大ファンだった2人は、ノートルダム大学内にある競技場「ノートルダム・スタジアム」のツアーに2人だけで参加。そこでマーフィーさんは、片膝をついてプロポーズしてパジェットさんを驚かせた。

昨年11月に悲劇が起こり、マーフィーさんは事故で亡くなった。パジェットさんは当然ながら、打ちのめされた。

「ケンダルは素晴らしい男性だった。とても愛情深く、思いやりのある人でした。誰にでもシャツを貸すような人だった」とパジェットさんはBBCに話した。

しかしパジェットさんは、挙式をキャンセルしないことにした。代わりに、パジェットさんは9月29日、結婚式のために選んだ白いドレスを着て家族と友達を集めた。

2人が結婚式のために予約していた写真家が、写真を撮影した。

「ケンダルが実際に私と一緒にいられなくても、それでも2人の結婚式を祝いたかった。ドレスを着て過ごすはずだったこの日の思い出が欲しかった」とパジェットさんは説明する。

写真撮影をただちに思いついたわけではなかった。マーフィーさんが亡くなってからしばらくして、ドレスが用意できたとウエディング・ブティックから電話があり、ひらめいたのだという。

「最初は、もうあのドレスは欲しくないと思いました。一番の親友と結婚するという夢はもうないので。でも両親が支払ってくれていたので、取りに行くことにしました。そこで、このアイデアが浮かんだんです」

さらにパジェットさんの知らないうちに、義理の母になるはずだったマーフィーさんの母親が、写真家に撮影を打診していた。

出来上がった写真からは、喪失に苦しむ若い女性の強さと回復力を目に見える形で証明している。

「私はもうボロボロでした。ありとあらゆる考えが頭に浮かんできて。『私の隣には誰もいない。私の花婿はここに一緒にいない』って」

「お父さんを見たとき、完全に感情を抑えられなくなってしまいました。結婚式定番の『父娘のダンス』を私はできないんだと思って」とパジェットさんは話す。

しかし悲しみに混ざって、笑いもたくさんあった。

「ばか話もしました。嬉しいです。それから蚊がひどくて、刺されまくりました! これも私たちが笑った理由」

「強さを示したかった。自分自身と他の人たちのために、勇気を持たなければ。ケンダルが戻ってくるわけではないので」

結婚式を挙げることは、自分と家族にとって、癒しのプロセスだとパジェットさんは話す。

家族と友達の中に混ざり、事故の処理中に亡くなったマーフィーさんがボランティアをしていた消防隊から同僚が数人参列していた。

「来なくてもいいからって伝えていました。男性がどんなか、分かっていますから。男性たちは大抵、結婚式に遅れてくるし、参列したがらないので」

「そうしたら、びっくりしました。実際に式をしていたら教会で立っていたはずの場所に、みんな立っていたんです。時間を作って来てくれたんだ、私のためにわざわざ参列してくれたんだと思うと、驚愕(きょうがく)しました」

写真家が式典の写真をフェイスブックに投稿すると、たちまち拡散された。パジェットさんは身内だけの個人的なものにしたいと当初は考えていたが、大勢に共有されたことで新たな意味も生まれた。

「悲しみに暮れる知らない人たちからメッセージをもらいました。自分の経験を話してくれて、私がどれだけ強くて勇敢か教えてくれました。私にできるなら自分にもできるはずだって」

こうした写真は、大切な人を亡くした時に、人はさまざまな嘆き方をするものだということを際立たせている。これほどまでに若い時に亡くした場合はなおさらだ。

「写真の後、何かいいことをしたような気がしました。少しだけ強くなった気がした。でも翌日には、悲しい思い出や彼に対する自分の想いが戻ってきました」

パジェットさんは、写真のおかげでマーフィーさんに少し近づけたような気がすると話す。「今なら彼は、拡散されたって笑っている。その様子が見えます」。

「力強い写真になったのは、彼のおかげです。本当に、彼を心の中で感じたと思います」

(取材 ジョージーナ・ラナード、UGC・ソーシャルニュース)


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