スペイン・バルセロナで24日から開催予定だった、世界最大級の携帯電話関連展示会「モバイル・ワールド・カンファレンス(MWC)」の中止が決定した。主催者側は、世界に感染が拡大している新型コロナウイルスが理由だとしている。

MWCを主催するGSMアソシエーション(GSMA)のジョン・ホフマン最高経営責任者(CEO)は声明で、「今日のバルセロナ市内やホスト国内の安全性や健全な環境を十分考慮した結果、GSMAはMWCバルセロナ2020を中止する」と表明した。

ホフマンCEOは、「新型コロナウイルスのアウトブレイク(大流行)をめぐる世界的な懸念や、渡航上の懸念、そしてそのほかの事情」から、イベント開催が不可能となったと説明した。

一方、スペインのサルヴァドール・イリャ保健相は12日、人々は「スペインの保健制度を信頼し」、「科学的証拠に基づいて判断を下す」べきだと述べ、冷静さを保つよう求めた。

中国から約6000人が参加

毎年開催されるMWCには、通常10万人以上が参加する。そのうち約6000人は中国からの参加者だ。

今年は、2月24日から27日に開催が予定されていた。

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アウトブレイク終結は「時期尚早」

新型コロナウイルスをめぐっては、世界保健機関(WHO)が12日、中国での感染者数の増加スピードは減速しつつあるものの、アウトブレイクの終結を判断するには「時期尚早」だとの認識を示した。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、「このアウトブレイクは依然として、いかなる方向にも発展する可能性がある」と述べた。

WHOの報告によると、12日時点の中国での感染者数は4万4730人、死者は1114人。

WHOの健康危機担当のマイケル・ライアン氏は、中国で新たに感染が確認される人数が減少していることや、新型ウイルスが発生した湖北省以外での感染スピードが減速していることは心強いと述べた。

ライアン氏は、「(減速している要因の)大部分は、中国国内での大規模な公衆衛生対策の結果だ」と述べた。

しかし、「このエピデミック(伝染病)の始まり、中盤あるいは終結を予測するには時期尚早だと思う」と付け加えた。

大手企業が相次ぎ不参加

MWCでは、数千もの企業が自社の最新の技術革新を出展する。地元経済を大きく押し上げるイベントとなっている。

米アマゾンやソニー、BT(イギリス)、フェイスブック(アメリカ)、LG電子(韓国)、ノキア(フィンランド)、ボーダフォン(イギリス)、通信機器メーカーのエリクソン(スウェーデン)、米半導体メーカーのインテルやエヌヴィディア(Nvidia)などが、新型ウイルスをめぐる不安感を理由に、毎年恒例のMWC参加を取りやめた。

フランスの電気通信グループもまた、同社のステファン・リシャール最高経営責任者(CEO)がGSMAの会長を務めているものの、参加を辞退した。

ドイツテレコムは、海外からの多くのゲストが参加する大規模な集まりに、同社スタッフを派遣するのは「無責任」なことだろうと述べた。

「制御不能な状況の犠牲」

コンサルタント会社CCSインサイトの業界アナリスト、ベン・ウッド氏は、GSMAは「制御不能な状況の犠牲者」だと指摘し、「この展示会が今年は開催されないなんて、大きな落胆だ」と述べた。

「このイベントのために、自社にとって不相応な予算や時間を注ぎ込んでいる小規模企業への影響は、過小評価されるべきではない。MWCは多くの企業にとって頼みの綱のイベントだ。なので、企業側は、この厳しい状況から何かを取り戻すための最善策を見つけ出すという試練に直面している」

テクノロジー専門ニュースサイトのワイアードは、イベントを中止できるよう、GSMAがスペイン当局に対し、衛生上の緊急事態を宣言するよう求めたと報じた。

この報道によると、GSMAの保険規約では、主催者側がイベントの中止を決定した場合、GSMAの損失は補償されないという。