オーストラリアの連邦裁判所は12日、米グーグルに対し、メルボルンの歯科医について匿名で悪評を書き込んだ人物を特定するよう命じた。

歯のホワイトニング専門のマシュー・カバービ医師は、ユーザーネーム「CBsm 23」が同医師の施術について「非常に不器用で不快」なので「近づくな」と第三者に広めたことで、業務に支障をきたしたと主張していた。

カバービ医師は、書き込んだ人物を特定し、名誉毀損(きそん)で提訴したいとしている。

今回の判決により、グーグルは、書き込みをした人物の氏名や電話番号、アカウントに紐(ひも)づいた所在のメタデータ(データに付加されたデータ)やIPアドレスをカバービ医師に提示することが求められる。

グーグルは以前、同社のサイト上への否定的な評価(レビュー)の投稿を容認していることについて、自己弁護していた。

国際法では、訴訟に必要な資料の提出を海外の関係者に求めることが認められている。

「革新的」事例

グーグルはこれまで、レビューの削除や、書き込んだ人物に関する情報の提供といったカバービ医師の要求を拒否していた。

カバービ医師の宣誓供述書によると、グーグルは同医師に対し、「我々にはこのIDがどこでいつ作成されたのかを調査する手段がない」と述べたという。

しかし、バーナード・マフィー判事は、カバービ医師には名誉毀損を訴える根拠があり、グーグルは「今後被告になりうる人物に関する情報を突き止めることに役立つ資料などを管理または過去に管理していた可能性がある」と判断した。

カバービ医師の弁護人は、この判決は小規模ビジネスにとって「革新的な」勝利だと述べた。そして、グーグルには名誉毀損になりうる投稿のためのプラットフォームを提供する上で、注意義務があると主張した。

「そこ(プラットフォーム)で匿名を使って隠れようとしても、たとえVPN(仮想プライベートネットワーク)を介しても、裁判制度は今追いつこうとしていると私は考える。情報を入手する方法と手段があるので」と、弁護人のマーク・スタンナヴィック氏はオーストラリア放送協会(ABC)に述べた。

「消費者の権利や言論の自由の抑圧」と

グーグルに裁判所の判断に関して問い合わせたが、返答はまだない。同社はこれまで、悪いレビューを削除することに乗り気ではなかったものの、裁判所の決定を受けて削除したことは複数回ある。

グーグルは昨年、オーストラリアの法改正の専門家に対し、オンラインレビューをめぐる名誉毀損訴訟は、消費者の権利や言論の自由の抑圧につながる可能性があると主張した。