フランス映画芸術技術アカデミーが、主催する「セザール賞」に児童性的虐待で有罪となったロマン・ポランスキー監督の作品をノミネートし、大きな批判を浴びている。これまでに審査委員会のメンバー全員が辞任したものの、改革を求める声が高まっている。

フランスのアカデミー賞とも言われる同賞では今年、ポランスキー監督の「ジャキューズ(私は弾劾する)」が12部門にノミネートされた。

これに反発した俳優やプロデューサー、監督らは公開書簡を発表。仏アカデミーの「機能不全」と不透明な経営を批判し、改革を訴えた。

また、フランスの男女平等相や映画評論家なども、ポランスキー氏のノミネートを非難した。

13日に発表した声明で仏アカデミーは、審査委員会は「2019年の映画界を支えた男性と女性に敬意を表するとともに、事態を収束させ、映画の祭典が純粋な祭典となるよう」、「全会一致で辞任を決定した」と説明。

「この共同決定により、審査委員会は総入れ替えとなる」と付け加えた。

仏アカデミーは、2月末の授賞式後に新たな審査委員を選出し、改革や現代化に臨むとしている。

ポランスキー監督のしたこと

ポランスキー氏は1977年、当時13歳だったサマンサ・ゲイマーさんを強姦した。ポランスキー氏はこの事実を認め、禁錮刑に42日間服したものの、司法取引の破綻を恐れ、仮釈放中にアメリカから逃亡した。

ポランスキー氏はフランスとポーランドの市民権を持っており、米当局の身柄引き渡しを何度も回避してきた。

一方で、ポランスキー監督は2017年にセザール賞の選考委員に選ばれたが、反発を受けて辞任。2018年には、アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーから除名されている。

今回のノミネートを受け、女性の権利団体「ウゼ・ル・フェミニスメ」の広報を務めるセリーヌ・ピクさんは、「ショックを受けた、ノミネーションに投票した400人もの映画専門家が、ポランスキーを12部門で称賛した。この12という数字は、ポランスキーにレイプされたと訴えている女性の数と同じだ。これは倫理観の問題ではなく、正義の問題だ」と話した。

仏アカデミーは当初、ポランスキー監督のノミネーションを擁護し、賞の授与では「倫理的な立場を取るべきではない」としていた。

しかし多くの反発を受け、今後は文化省に仲介役の任命と、一連の改革の監督を求める方針を明らかにした。

フランスのフランク・リーステール文化相は、同アカデミーは「オープンさ、透明性、平等、多様性」といった精神のもとに民主主義的に運営されるべきだと述べた。