ダン・ローアン、ニック・ホープ、BBCスポーツ

英陸上競技連盟のニック・カワード会長は20日、新型コロナウイルスの流行を理由に、今夏開催予定の東京五輪を延期すべきとの考えを示した。米水泳連盟も同日、延期を求めた。

7月24日から8月9日までの日程で予定されている東京五輪をめぐっては、各国で出場選手を決定する重要な大会の中止が続いている。そうした中で大会関係者が予定通り開催する姿勢を見せていることに対し、選手たちからは批判の声が増えている。

カワード会長はBBCスポーツに、「今のままでは各方面をひどく圧迫している。なんとかしなくてはならない」と述べた。

「異なるシナリオ」検討

日本滞在中の英テコンドー代表パフォーマンス・ディレクターのギャリー・ホール氏は、大会関係者は「神経をとがらせている」とし、五輪が7月に開催される確率は「半々だ」との見方を示した。

国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は19日付の米紙ニューヨーク・タイムズで、東京五輪について「異なるシナリオ」を検討していると述べ、初めて予定変更の可能性に言及した。

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一方、米水泳連盟は20日、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)に対し、東京五輪の開催の1年間延期を求めるよう書簡で要請した。

BBCが確認した書簡によると、同連盟のティム・ヒンチー3世最高経営責任者は、「世界的健康危機の中でこの夏、前に進めるのは答えではない」と訴えている。

ヒンチー氏はまた、USOPCのサラ・ハーシュランド最高経営責任者に対し、IOCと協議し、「発言力を使って選手たちのために声を上げる」よう求めている。

「東京の準備は素晴らしい」

東京五輪をめぐっては今週、英女子陸上選手で7種競技王者のカタリナ・ジョンソン=トンプソン氏が、新型ウイルスの大流行による規制の中で、練習して「決まったメニューをこなす」のは「無理」だと主張。練習の本拠地にしているフランスを離れた。

オリンピック・パラリンピックに向けて準備を進める多くのイギリス選手が、ここ数週間、英政府の社会的距離戦略(人同士の接触を減らす対策)を受けた国内施設の相次ぐ閉鎖に直面している。

英陸上競技連盟のカワード会長は、選手たちが人生最大の舞台に向けて準備を進めるための施設が、閉鎖というもっともな対応を取っていると説明。「各方面への負担があまりに大き過ぎる。早く決断をすべきだ」と述べた。

一方、テコンドー代表ディレクターのホール氏はBBCスポーツに、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の準備に感銘を受けたとし、7月の開幕を期待していると述べた。

ホール氏は、組織員会は現在の状況に気をもんでいると述べるとともに、「準備は素晴らしく、会場や選手村は見事だ」と話した。

また、「すべてがもう少し混乱しているかと思ったが、落ち着いていて、五輪が開催となれば準備は整うだろう」、「世界で状況がものすごい速さで変化していて、できれば開催となってほしい。だが、何がなんでも開催できるものではなく、選手の健康と安全が第一でなくてはならない」と述べた。

「選手が生命を危険にさらす」

元米男子陸上短距離選手で、BBCスポーツのコメンテーターのマイケル・ジョンソン氏は、選手たちが東京五輪に向けた練習をしようとして「生命を危険にさらす」かもしれないと指摘。IOCの意思決定プロセスの透明性を高めるよう求めた。

オリンピックで4つの金メダルを獲得したジョンソン氏は、「IOCは2020年五輪の決定についてはっきりと伝えるべきだ」とツイート。「選手は練習を続けなくてはならないが、多くの人は練習場所がない」、「練習を続けようとして自分や他人の生命を危険にさらすかもしれない。早急な中止だけが答えではない。意思決定のプロセスを選手たちに明確に示すことだ」と主張した。

イギリスの元陸上競技選手で世界陸連会長のコー男爵(セバスチャン・コー氏)は19日、大会関係者が開幕か延期かの最終決定をするには時期尚早だと、BBCラジオ4の番組で述べた。

IOCと東京オリンピック・パラリンピック組織委員会はこれまで、5月までに何らかの発表をする考えを示している。