アメリカのドナルド・トランプ大統領が7月4日の米独立記念日の週末に、4人の大統領の顔が彫られていることで有名なサウスダコタ州のマウントラシュモアを訪問を予定しており、ネイティブ・アメリカン(米先住民)のグループが抗議を計画している。

トランプ氏は今年11月の大統領選にむけた選挙キャンペーンの一環で、7月3日にマウントラシュモアで複数の戦闘機を飛行させ、花火を打ち上げることを予定している。

4人の大統領の顔が彫られた場所は、1800年代に米政府がネイティブ・アメリカンのラコタ・スー族から奪った神聖な土地ブラックヒルズにあることから、活動家たちは長年、このモニュメントに異議を唱えてきた。

アメリカでは黒人男性が白人警官に押さえつけられ死亡した事件をきっかけに、全土で人種間の緊張が高まっており、トランプ氏の訪問予定は物議を醸している。

「白人至上主義の象徴」

サウスダコタ州キーストーンにあるマウントラシュモアの花崗岩には、1927年から1941年にかけて、ジョージ・ワシントン初代大統領、トマス・ジェファーソン第3代大統領、セオドア・ルーズベルト第26代大統領、エイブラハム・リンカーン第16代大統領の、長さ18.2メートルの巨大な顔が彫られた。

4人の歴代大統領の顔を彫った人物は、米国の白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン」(KKK)と関係のある白人至上主義者だったとされる。

一部のネイティブ・アメリカンの活動家は、ブラックヒルズをスー族に返還し、モニュメントを取り壊すべきだと主張している。一方、先住民グループは観光収益の恩恵を受けるべきだという意見もある。

オグララ・スー族トップのジュリアン・ベア・ランナー氏は、トランプ氏は今回の訪問について部族のリーダーたちと協議していないと、地元紙「The Argus Leader」に述べた。

別の部族メンバーで地元の活動家のニック・ティルセン氏はAP通信に対し、このモニュメントは「白人至上主義の象徴であり、今日の社会に依然として残っている構造的人種差別の象徴」だと述べた。

「先住民の土地を積極的に奪い、大量虐殺を犯した征服者の白い顔を彫るのは不当行為だ」

像の破壊を罰する大統領令に署名へ

アメリカでは人種差別に反対するデモ抗議で、奴隷制度と関係のある指導者らの像が落書きされたり、撤去されたりしている。

こうした事態を受け、トランプ氏は間もなく、公共の像や連邦記念碑を破壊した者を禁錮刑に処する大統領令に署名するとみられる。

トランプ氏は25日夜、ウィスコンシン州グリーンベイで米フォックス・ニュース主催のタウンホールで、「我々は毎晩、(像を標的にする抗議者に対して)ますます厳しく対処することになる。そしてそのうち報復が起きる。そうしなければならないからだ」と述べた。

「やつらは破壊者で扇動者だが、ある意味でテロリストだ」

奴隷を所有していたジョージ・ワシントンとトマス・ジェファーソンの複数の像も撤去されたり、取り壊されたりしている。

ニューヨークの自然史博物館前にあったセオドア・ルーズベルトの像も撤去されることとなった。この像は、馬にまたがったルーズベルトの両側にネイティブ・アメリカンの男性とアフリカ系の男性が立っているというもの。

トランプ氏は、ルーズベルト像の撤去計画は「ばかげている」とした。

モニュメントは「撤去されない」

サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事(共和党)は、次はマウントラシュモアのモニュメントが撤去される番だとする考えを一蹴。「私がいる限りそんなことはさせない」とツイートした。

環境への懸念があるにも関わらず、トランプ氏が10年以上ぶりにマウントラシュモアで花火を打ち上げると決めたことは、今月初旬に大きく報じられた。

マウントラシュモアのモニュメントは国有林に囲まれている。乾燥した場所で花火を打ち上げることで山火事を起こすのではないかと懸念する声もある。

しかしマウントラシュモア国立記念公園側は、花火が安全に行われることを「確信している」と述べたと、米紙ワシントン・ポストは報じた。