アメリカの複数メディアは28日、ロシア情報当局がアフガニスタンの反政府組織に、アフガン兵や米兵の殺害に賞金を提供しており、これをトランプ米政権は承知していたと伝えた。ロシア政府とアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは、共に報道内容を否定している。

米紙ニューヨーク・タイムズ、同ワシントン・ポスト、同ウォールストリート・ジャーナルはいずれも、米政府当局者の話として、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の特殊工作部隊「29155」が昨年、タリバンに賞金を提供していたと伝えた。「29155部隊」は、イギリスを含む欧州各地での暗殺作戦にも関わっているとされる。

在ワシントンのロシア大使館は、一連の報道を否定。報道の影響で大使館員の安全が脅かされていると反発した。

タリバンも、ロシア情報当局との関わりはないと否定した。

ニューヨーク・タイムズ記事は匿名の米政府筋の話として、アメリカ主導の連合国軍を攻撃するようロシアのGRUがタリバンに賞金を提供していると、米情報当局は数カ月前に結論づけたと伝えた。ロシアは敵対する各国の不安定化を図っているという。

イスラム武装勢力や、それらと密接につながる武装犯罪勢力が、いくらかの賞金を手にしたようだと同紙は伝えた。

アフガニスタンでは2019年に米兵20人が死亡しているが、ニューヨーク・タイムズはどの件が、ロシアの賞金提供と関係すると疑われているかはっきりしないと伝えている。

同紙が伝えた米政府筋の話では、ホワイトハウスの国家安全保障会議が、ロシアへの制裁強化を含めた対応を協議したという。

さらに同紙によると、ドナルド・トランプ米大統領は今年3月の時点で、情報当局からこの報告を受けている。

しかし、トランプ氏はツイッターで、「誰も私やペンス副大統領やメドウズ首席補佐官に、アフガニスタンでロシアが我が軍を攻撃したとかいう報告などしていない。フェイクニュースのニューヨーク・タイムズは『匿名の情報筋』を通じて伝えているが。全員が否定しているし、我々への攻撃もあまりなかった」と、報告を受けていたことを否定した。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1277202159109537793


在ワシントンのロシア大使館も連続ツイートで、「根拠のない匿名の報道」が原因で「ワシントンとロンドンの大使館員がすでに脅迫され、命を脅かされている」と反発し、「脅迫につながるフェイクニュースを作るのをやめろ、ニューヨーク・タイムズ」と批判。さらに、「1961年の外交関係に関するウィーン条約に則り、国際的義務を果たすべく、アメリカの関係当局にはしかるべき効果的な対応を要求する」と書いた。

https://twitter.com/RusEmbUSA/status/1276696044399669248


タリバンの報道官も、関与を否定している。ザビフラ・ムジャヒド氏はニューヨーク・タイムズに、「我々が標的殺害や暗殺を継続していたのは数年前のことで、自前の資金で行っていた」と話した。

ムジャヒド報道官は、米軍と北大西洋条約機構(NATO)各国軍が今年2月に駐留軍の撤退に合意して以来、タリバンは攻撃を停止していると話した。駐留軍の撤退と引き換えに、タリバンは自分たちの支配地域で過激派勢力の活動を止めさせると約束した。

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GRUの「29155部隊」は、2018年3月に英ソールズベリーでロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)が有毒の神経剤「ノヴィチョク」を浴びて重体となった事件に関与したとされている。