「Amazon S3」互換のオブジェクトストレージベンダーであるクラウディアンが日本市場の開拓を加速させている。マルチクラウド化とハイブリッドクラウドのトレンド、さらにはユーザー企業が取り扱うデータ量の増大を背景にニーズが拡大。市場における認知度を高めるとともに着実に新規顧客を獲得しているという。ブライアン・バーンズ アジア太平洋(APAC)副社長は「2019年は第4四半期(4Q、10月〜12月)だけで21社の新しいお客様を獲得できた」と手応えを語る。

 クラウディアンはもともと日本発のオブジェクトストレージソフトウェアのベンダーだが、18年からは米シーゲイト・テクノロジーとの連携により、“純正”のアプライアンス製品を市場投入。現在はこれが主力製品になっている。
 バーンズAPAC副社長は「ストレージの需要は高速処理と大容量に二分化して伸びており、大容量の方向で爆発的に増えているデータの格納・活用におけるオブジェクトストレージの有用性が市場で広く認知されてきた」と市場の状況を分析する。クラウディアンの製品はAWSのAmazon S3がオブジェクトストレージのデファクトスタンダードになるという予測の下に開発され、「実際に予測通りの状況になり、多くのオブジェクトストレージがS3互換を前提に提供されているが、S3の完全なフル互換を実現しているのは現在でもクラウディアンだけ。AWSも自社のオンプレシステムには当社製品を採用している」という。
 一方で、AWSだけでなく、AzureやGoogle Cloud Platformとの間でポリシーに基づいてデータを自動転送する仕組みも備える。さらに同社は昨年、ヴイエムウェアとの協業も発表。ヴイエムウェアの仮想化製品を活用するクラウドサービス事業者向けの管理プラットフォーム「VMware Cloud Platform(vCD)」からクラウディアンのオブジェクトストレージを直接管理できる仕組みを整えた。
 オブジェクトストレージに格納されるデータ量や活用シーンが拡大するにつれ、セキュリティ、安定稼働、コストなどの面で必ずしもパブリッククラウドが有利な場面ばかりではないことも浮き彫りになってきた。バーンズAPAC副社長は「高いレベルでハイブリッドクラウド・レディ、マルチクラウド・レディを実現していることで、クラウディアンは市場の巨大なニーズに応えている」と強調する。
 日本では昨年12月にネットワールドとディストリビューター契約を結び、連携して大手SIerなどにも販路を拡大していく方針だ。グローバルでは、ユーザー企業が昨年1年間で100社増え、300社から400社まで拡大。日本市場はさらに伸びが顕著で、バーンズAPAC副社長は「直近6カ月でビジネス規模は3倍になっているAI/IoTソリューションの浸透などで大量のデータを扱う企業が増えていることも追い風になっている」として、2020年はさらなる成長を実現できると見込む。(本多和幸)