BAS(ビルオートメーションシステム)やBEMS(ビルエネルギーマネージメントシステム)など施設管理ソリューションを提供しているジョンソンコントロールズ(吉田浩社長)は、ビル管理システムのデータをITシステムと連携させて活用できるようにするIoTプラットフォームに注力している。これを核に、ITベンダーを広く巻き込み、ビル設備データを活用した付加価値ソリューション創出のエコシステムを構築したい意向だ。

 同社は、主に熱源機器を一カ所に集中させるセントラル空調方式の空調ソリューションを大規模施設に提供しており、それに付随する設備や管理システムの導入をメインのビジネスとしている。大手建設事業者などと協力して施設のコンセプト設計から竣工後の管理・保全までビルのライフサイクル全体をカバーしてきた。
 同社では近年、ビルOTとITを組み合わせたソリューションの展開に注力しており、クラウドベースのビル設備データ解析アプリケーション「JEM」を提供している。19年9月には、さまざまなビルシステムから収集されるビッグデータをITシステムでも活用しやすい形に整えて提供するIoTプラットフォーム「Digital Vault」を発表。Digital Vaultはマイクロソフトの「Azure」上に構築され、同社の主力BAS「Metasys」や他社のBASから収集したデータの幅広い活用を促す。また、Metasysは企業が持つ情報システムと連携させる際に個別の開発が必要だったが、Digital Vaultを使うことでよりシームレスな連携が可能になったという。また、ユーザーが個別でDigital Vault上にアプリを構築することもできる。
 同社デジタルソリューション推進室プロダクトマネジメント担当の地田清和氏は「これまでIT系の方たちにとってビルシステムのデータはブラックボックスだった。Digital Vaultを使えばIT側でも分かりやすい形でデータを提供できる」と語る。特に、ITシステムとのシームレスな連携を実現したことで、省エネルギー化の提案だけでなく、施設に来訪した利用者の体験を向上させる付加価値を提案できる可能性が広がったという。地田氏は「これまでは建てたら下がるだけだったビルの資産価値を付加価値によってむしろ向上させることができる」と力を込める。
 今後はSIerなどとの協業も強化していく方針だ。地田氏は「われわれはビル運用のノウハウは持っていてもIT領域の知識は少ない。Digital Vaultを通してお互いに補完し合えるパートナーを探したい」と意気込みを語った。
 すでにグローバルではDigital Vaultの導入が進んでおり、導入先は中東企業Bee’ahの新本社で、3月〜4月に完成予定。国内でも今年中の導入を目指しており、まずは既築の施設をターゲットとしていく考えだ。(銭 君毅)