テラスカイの佐藤秀哉社長は4月21日、「IT投資マインドは決して冷えていない」と2020年2月期の決算説明会で話した。成長基調にあるユーザー企業はさまざまなクラウドサービスを存分に使いこなしている例が多く、クラウド上のシステム構築や製品開発を主力とするテラスカイのビジネスと親和性が高い。そうした成長企業はコロナ・ショック後に猛ダッシュするためのIT投資も水面下で進めていることから、今年度(21年2月期)も引き続き二桁成長できる手応えを感じているという。一方で、旅行関連や旅客運送をはじめ、コロナ・ショックの直接的な打撃を受けている業界もあり、ユーザー企業の業種やIT投資にバラツキが出てくるとも指摘する。(安藤章司)

 テラスカイの足下のビジネスを見ると、ユーザー企業の多くが在宅勤務を余儀なくされていることから新規プロジェクトの検討期間が伸びたり、スタート時期が後ろ倒しになるなどの影響が出ている。また、昨年末に立ち上げたアジア地域で初の拠点となるタイ法人が「行くに行けない、来るに来られない状況で活動が停滞している」(佐藤社長)としている。今年度はタイ法人で大々的な営業やマーケティング活動を行い、先行投資をする年と位置づけていたが、活動停滞によってタイ法人の赤字幅が小さくなる見込みという皮肉な現象も起きている。
 こうした中でも、資金の内部留保を多く抱え、投資体力がある大企業ユーザーを中心に、IT投資は堅調に進むと同社は予測する。コロナ・ショックが終わったタイミングでスタートダッシュできるよう、デジタル技術によって新しい価値を創り出すSoE領域への投資意欲は高水準で推移しているという。SoE領域は、テラスカイが主戦場と位置づけるSalesforceやAmazon Web Services(AWS)を活用したSI領域とほぼ重なることから、コロナ・ショックによる逆風は限定的であると見る。
 一方で、基幹系システムを中心としたSoR領域の投資は、そもそも案件あたりの投資金額のボリュームが大きいこともあって、凍結、先送りされる部分が少からず出てくるのではないかと予想している。
 テラスカイの21年2月期の連結売上高は前年度比15.4%増の107億円で、初めて100億円の大台を突破する見込み。営業利益は同28.2%減の5億2000万円の減益見通しだが、これはアジア市場でビジネスを伸ばす拠点として立ち上げたタイの現地法人や、将来有望とされる量子コンピューターなど、当面は赤字にならざる得ない成長領域への投資を継続するためだ。「安定成長に甘んじたり、利益を確保するために新しい成長市場にチャレンジしないという方向に舵を切ることはない」(同)と、コロナ禍の最中にあっても、将来のより大きな果実を手にするための投資を継続していく姿勢を貫く。
 売り上げ見込みに関しては、公表値こそ15.4%増だが、20年2月期までの過去5年間の年平均成長率(CAGR)41%に近づけるよう「(個人的な)気持ちとしては目指していきたい」と期中の上方修正をあきらめない。コロナの混乱が連休明けで収束するのか、より一段と長期戦になるのかが現時点では見えないため手堅い数字を公表したという。人員規模についても、昨年度は約120人増員してグループ連結で580人体制となったが、今年度も採用を積極的に進めていくことで約170人増の750人体制を目指していく。
 事業継続のためリモートワーク環境の構築ニーズが高まっているが、クラウドを主戦場とするテラスカイは、こうしたニーズを捉えやすい。同様にサーバーワークスやクラスメソッドといったクラウドインテグレーターのSEの稼働率も下がっていない模様で、コロナ・ショックをきっかけにクラウド移行が一層加速していく可能性が高い。