2019年10月から義務化された通信料金と端末代金の完全分離(分離プラン)によって、スマートフォン市場は厳しい状況に立たされている。分離プランの義務化以降、例年とは異なる動きをしていることが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から明らかとなった。

 スマートフォン市場の販売台数指数を2017年1月を「100.0」として算出したところ、例年は6月を底に翌年の3月に向けて右肩上がりに推移していることが分かった(図1)。しかし、19年は10月の分離プラン義務化により、今までとは異なる動きがあらわれた。消費増税前の駆け込み需要が重なった19年9月の販売台数指数は「134.1」と17年同月の「87.4」や18年同月の「97.6」を大きく上回った。そうした反動もあり、19年10月は「66.9」まで落ち込み、それ以降は低調な推移となっている。17年と18年は年末年始で起点を超える動きをみせたが、19年はそれほどの力強い動きはみられず、指数は100に届かず、95〜96程度にとどまっている。
 そこで、どのキャリアやメーカーが影響を受けているのか見ていくため、19年7月から20年1月までの7カ月間のそれぞれの販売台数伸び率(前年同月比)を算出した(図2)。
 まずキャリア別にみていくと、増税前の19年9月はすべてが伸び率で前年を上回ったが、翌10月は反動による影響でマイナスに転じた。個別にみるとUQ mobileは10月に6割を下回ったが11月はプラスに転じ、それ以降は一定の水準を維持している(図2左)。しかし、docomoとauは10月から4カ月にわたり前年の8割程度にとどまり、SoftBankも前年を割り込み、苦戦を強いられている。
 また、メーカー別でも9月を境に明暗が分かれた(図2右)。上位5社のなかでHuawei TechnologiesとソニーMC(モバイルコミュニケーションズ)はチャート内の7カ月間はマイナスでの推移となったが、最も影響を受けているのはアップル。10月以降の伸び率は前年の7割程度と厳しい状況に見舞われたのは決算発表からも明らかで、日本における苦戦が明確化した。一方、SAMSUNGは7カ月間のすべて、またシャープは19年7月と10月以外で前年を大きく上回っており、この2社には追い風が吹いたと言えそうだ。
 07年の「インセンティブ(報奨金・奨励金)制度の廃止」、16年4月の「実質0円販売」禁止に続き、またしてもスマートフォン市場は官主導の政策によって大きなダメージを受けている。しかし、キャリアやメーカーもこの状況に甘んじているわけではない。キャリアは電子決済や動画配信サービスの企業などと提携。また、アップルは店舗を限定しているものの、SIMフリー端末の取り扱いを拡大するなど、現状からの打開を試みている。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。