“平成の大遷宮”で話題になった「出雲大社」。目の前にある「ご縁横丁」は、年間100万人ほどが買い物に訪れる観光スポットだ。以前は閑散とした“シャッター街”だったが、2013年の「本殿遷座祭」を機に復活。大型イベントによる人気は一時的なものになる場合も多いが、ここは人気を継続している。背景にあるのは、魅力あるコンテンツを生み出す体制。そして、それを陰でサポートする仕組みだ。

●商店街の復活


 ご縁横丁は、地産地消を掲げるテナントが11店舗入る商業施設。“出雲いいもの、おいしいもの”をコンセプトに、ご当地グルメや勾玉など地元に縁の深い商品を販売している。所在地は、出雲大社の正門(勢溜=せいだまり)前に位置する「神門通り商店街」だ。
 かつては国鉄大社駅からの参拝客でにぎわっていた商店街だったが、車社会の到来で鉄道が廃止になり、一時はすたれ気味になってしまった。しかし、13年の「出雲大社 平成の大遷宮」をきっかけに石畳や電線の地中化など整備を進め景観を一新。60年に一度の伊勢神宮の遷宮とタイミングが重なったこともあり、02年から10年間は200万人前後だった参拝者が、13年には年間800万人ほどに急増した。
 ただ、景観を整えただけで人気を継続するのは難しい。そこで参拝者の様子に目を向けた。見えてきたのは「出雲大社参拝後に、何を買ったり食べたりすればいいのかわからない」という悩み。解決するために、出雲のさまざまな良いものをすぐに楽しめる場所として、ご縁横丁を開業した。今では、“出雲で出店したいエリアNo.1”とも呼ばれているという。

●継続的な人気を支える“陰”の仕組み


 いくらコンテンツに魅力があったとしても、同じことを続けていたらいつか参拝者が飽きてしまう。ご縁横丁を統括する三木康夫氏は、「ご縁横丁は神門通り商店街の入り口のスポットとして、商店街に人を呼び込めるよう、常に魅力あるコンテンツにアップデートしないといけないというミッションを抱えている」との考えを示す。
 ところが、店舗は接客や商品の在庫管理、会計、レジ締めなど日常の業務は多く、新たなコンテンツを考える時間をねん出するのは難しい。少しでも業務を効率化しつつ、これからのことを考える時間をつくるため、ご縁横丁は「Airレジ」の導入に踏み切った。ご縁横丁の新しい取り組みを陰で支える重要な仕組みだ。
 Airレジは、レジ機能に加え、売上分析や在庫管理、サービス連携など店舗経営をサポートする機能が盛り込まれたサービス。導入に必要なのは、iPadやiPhoneとインターネット環境だけ。レジ機能は 、「0円」で使用可能。消費税増税・軽減税率対応の負担軽減にも役立っているという。決済サービス「Airペイ」を導入すれば、電子マネーやクレジットカード、QR決済 に対応する点も強みだ。
 これにより、ご縁横丁ではマネージャー業務の負担が大きく軽減。三木氏は、「空いた時間を新たなコンテンツ企画にあてることができている。Airレジの売上データの数字をもとにすることで、議論は建設的なものになった」と語る。
 活発な議論により、いくつもの施策が生まれた。神門通り商店街は早い時間で閉まる店がほとんどのため、夜でも交流できる空間のある宿やクラフトビールの店を開業する予定だ。
 また、中長期的には、営業人口や関連人口を増やすために空き家物件を開発してソーシャルアパートメント化する構想を立てている。三木氏は、「島根県はU・Iターンランキングで全国2位であり、島根・出雲の良さを残しつつ、第2、3の拠点として過ごしやすい場づくりにも挑戦をしていく」と展望する。Airレジが生み出した時間は、商店街にとどまらず、県の未来を支える時間になりそうだ。(BCN・南雲 亮平)