個人的に、地上波のテレビ番組に興味はなく、BSアンテナとBS放送の受信装置さえあれば十分だと思っている。賃貸の集合住宅で、うっかり地上・BSデジタル放送の共聴設備のない物件を借りてしまったら自身で室内アンテナ・BSアンテナを設置する必要があり、無駄なコストがかさむ。
 戸建住宅は、地上波用のUHFアンテナ、BSアンテナを屋根上などに設置したほうがランニングコストは安いが美観を損ねるため、家を新築・リフォームした家庭では、光回線を利用したテレビサービス「フレッツ・テレビ」や「ひかりTV」を利用しているケースも多いだろう。
 光コラボレーションモデルでは「ドコモ光テレビオプション」「ソフトバンク光テレビ」などの名称で提供されている、NTT東日本のフレッツ・テレビの提供エリアは東京、神奈川、千葉、埼玉、福島、北海道の各一部地域。月額料金は税別750円で、継続利用1年で計9000円、10年で計9万円と、初回工事費以外、費用の発生しないアンテナ設置に比べると、明らかにコストパフォーマンスは悪い。
 NHKは3月1日から、総合テレビとEテレ(NHK教育)の放送番組をインターネットで配信するサービス「NHKプラス」の試行的サービスを開始した。同時にオンデマンド方式の有料動画配信サービス「NHKオンデマンド」をリニューアル。従来の「見逃し見放題パック(放送から2週間の番組が対象)」と「特選見放題パック(放送2週間後以降の番組が対象)」を統合し、月額税込990円で、対象番組を全て見放題できる「見放題パック」1プランのみとなった。「U-NEXT」や「ひかりTV」「ビデオマーケット」、Amazonプライム会員なら無料の「Prime Video」から登録することもできる。
 NHKプラスの見逃し番組配信は、視聴にあたって、ハガキで送付されるコードの入力が必要な「NHKプラスID」の利用申し込みが必要だが、NHKオンデマンドなら不要。記者がいますぐ観たいのは大河ドラマ『麒麟がくる』だけであり、受信契約者本人しか手続きできず、申請から1〜3週間かかるというハガキの到着は待てない。NHKオンデマンドのラインアップを確認したところ、過去の大河ドラマや、タイトルだけ知っている気になるドラマ、興味を引くドキュメンタリーなどが多数あり、月額990円で十分もとが取れそうだと感じた。
 今はもう、気に入った有料動画配信サービスを一つ、二つ契約すれば、アンテナやケーブルを正しくつながないと視聴できない従来の「テレビ」は要らないのではないかと思う。少なくとも、常にないと困る生活に必須のインフラではない。
 有料動画配信サービスを楽しむシーンとしては、有線ヘッドホンやワイヤレスヘッドホンを装着した状態で、電車での移動中やカフェなど、家族や他人の目を気にしない時間を想定している。NHKの番組好きは、申し込みが複雑なNHKプラスより、月単位で気軽に視聴できるNHKオンデマンドに注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)