4月入学を9月入学に変える――。議論は始まったばかりだが、入学時期の移行や経過措置などによって、PCやタブレット端末の特需が来るといえよう。特に、PCの「一家に1台」から「一人に1台」が実現する可能性が出てきた。

 同時並行して、通学しない「オンライン授業」の実施方法も模索するべきだろう。文部科学省によって、もともと2023年度までに小学校・中学校の全生徒に一人1台ずつ端末を配備する「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」が進んでいた。
 通学を前提としたICT教育の実践とは別に、通信機能付きiPadが1台あれば、自宅に通信回線がなくとも、「見るだけ」のオンライン授業は不可能ではない。入試制度の変更の影響を考慮し、9月入学への正式移行は3年後、23年9月と定めれば、オンライン授業の有無を含め、移行措置期間中の多少の混乱は許容されるだろう

●学生のオンライン授業受講を後押しする通信事業者


 通信事業者各社(ドコモ・au・ソフトバンク)は25歳以下の契約者・利用者に対し、50GBまで追加データチャージを無料化する施策を延長すると決定した。楽天モバイル(MNO)は自社回線はもともと無制限、パートナー回線は月間5GBまでだが超過後も最大1Mbpsとそこそこの速さで通信できる。「コロナ禍」と呼ばれる現状にあっては月額通信料は最低料金で済み、あとは機器代金のみ一括または分割で支払えば、子ども専用端末は手に入る。
 iPadは「調べる・見る・描く」といった用途に強いが、文字入力は弱い。また、Windows PCやMacに比べ、どうしてもファイル管理機能は弱い。従来のデスクトップ版Excel/Word/PowerPointやテキストファイル、メールをベースとした作業スタイルに不向きだが(実際、2日間実践した記者の場合、通常の1.5倍の作業時間がかかった)、ファイル名がブラウザベースで変更できる、クラウドサービスをプロジェクト単位でメンバー間でやりとりする作業スタイルなら実用に十分足りるだろう。
 長引く休校、登園自粛(家庭保育)をきっかけに、小学校低学年はまずiPadやKindle Fireタブレットで慣れ、成長するに從い、文字入力・文書作成に適したPC/Macに移行する。スマートフォンのほかに「一人に1台」、インターネットにつながり、情報検索も情報発信もできる多機能端末がどの家庭にもある世の中にするには、今しかチャンスはない。教育機関などは、本格的にオンライン学習環境の整備について議論を進めるべきではないだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)