東洋経済新報社は、新型コロナウイルスの影響度が不透明などとして、3月期決算会社の6割近くが業績予想を「未定」または非開示とする中、「会社四季報」の業界担当記者が全上場企業に対して取材を実施し、今期と来期の業績予想について独自集計を6月25日に発表した。

 四季報予想を集計した結果、上場企業の今期(20年4月期〜21年3月期、対象3360社)営業利益は16.0%減と、前期の23.7%減に続き2期連続で2ケタ減益の見通しとなった。四季報では、企業活動が7月以降に徐々に回復に向かうとの前提を置いている。
 実際、3月決算企業では、下期に業績回復を見込めそうな企業が多いが、それでも上場企業全体として業績が本格回復といえるのは、営業利益が36.2%増加と予想される来期に持ち越しとなるとみている。
 幅広い業種に一挙に悪影響が及んだことが、今回のコロナ禍の特徴となっている。前期は製造業の減益率が非製造業を上回ったが、今期は逆に製造業の11.6%減益に対して、非製造業の減益率が20.5%と大きくなると予測する。ソフトバンクグループの大幅赤字縮小などを理由に30.7%の増益見込みとなる情報・通信業を除けば、非製造業の落ち込みはさらに深いものとなる。
 銀行、保険を除く31業種をみると、今期予想が営業増益となるのは情報・通信業、医薬品、証券業の3業種。黒字転換は、石油・石炭製品のみとなっている。一方、空運業が赤字転落となるほか、鉱業、輸送用機器、陸運、小売り、サービスなど2ケタ減益が20業種にのぼる見通し。
 なお、コロナを機に伸びる需要を捉えて健闘する企業も目についている。デジタル化、5G投資や通信量の増加は、IT大手、システム会社、半導体製造装置などに追い風となるほか、半導体パッケージ、ネット接続サービスなど、関連企業の業績を押し上げる。
 また、EC(電子商取引)の拡大は、保管搬送システムや決済・セキュリティなど、ネットのインフラ企業にも商機となる。衛生意識の高まりは、トイレタリー需要を拡大させており、ドラッグストア大手の業績が最高益を更新する勢い。食料品業界では、巣ごもり消費で袋麺が、健康意識の高まりでヨーグルト類などが伸びる見通し。ゲームも、巣ごもり消費の恩恵を受ける業界となる。
 決算実績と業績予想を市場別に集計した結果、IT関連企業が比較的多い新興市場が8.8%の増益予想と健闘している。業績予想の伸び率の高い企業を並べると、新興市場、JASDAQに上場する企業が数多く上位にランクインしている。