ドワンゴは、試行期間を経て、7月1日から在宅勤務制度を本格導入すると発表した。今後、対象となる従業員は「在宅勤務」を基本とし、必要に応じて出社する勤務形態とする。他にも数社が、7月1日付けで通勤手当の廃止・在宅勤務手当の新設を伴う在宅勤務への移行を発表している。

●交通費実費精算で「モバイルSuica/モバイルPASMO」のメリット高まる


 今年3月18日、Androidスマートフォン(スマホ)限定で、関東エリアでSuicaと相互利用可能な交通系電子マネー「PASMO」がスマホで利用できる「モバイルPASMO」のサービスがスタートした。PASMOエリア在住者にとっては、待望のサービス開始だったが、新型コロナウイルス感染症に関連するさまざまな呼びかけや4月の「緊急事態宣言」を受け、鉄道利用者、特に通勤利用者が減り、出鼻を挫かれた格好だ。
 もともとモバイルSuicaが先行していた上、新型コロナが追い打ちをかけ、残念ながら現状のままでは、決してモバイルSuicaのシェアを奪うには至らないだろう。その理由を挙げる。
 一つは、しばらくAndroidスマホでしか利用できないこと。国内ではiPhoneの人気が非常に高く、新規に売れたスマホのうち、好調時で6割、やや販売が低迷している時期でもiPhoneの販売台数シェアは4割前後を占める。利用者の多いiPhoneに対応するか、何らかの理由でiPhoneの新規販売数が急落しない限り、どうしてもユーザー数は限られてしまう。
 もう一つは、Suica/PASMOへのチャージ(入金)について、ポイント付与の対象外としているクレジットカードが多く、現金払いよりSuica/PASMO利用の方がお得になるのは、ポイント付与の対象外にならない一部のクレジットカードからチャージした場合に限られること。モバイルSuicaに関しては、JR東日本のビューカード「ビックカメラSuicaカード」が好評のため、利用者の不満は少なかった。
 さらに、今年5月から数少ないモバイルSuicaへのチャージでポイントがつくクレジットカードに「楽天カード」が加わった。モバイルSuicaがかなりお得に使えるようなった今、別のサービスに乗り換える動機づけは低いだろう。
 最後は、冒頭で触れた通り、withコロナの時代に推奨される「新しい生活様式」の一つ、「在宅勤務」の普及である。
 独自の試算ではあるが、JR東日本の路線のみの定期券は1カ月定期なら月14〜15日、3カ月定期なら13〜14日の往復乗車で、都度支払う往復運賃の合計を上回るのに対し、私鉄のみや私鉄+JR東日本の定期券だと、おおむね1カ月定期で月17〜18日、3カ月定期で月16〜17日も往復乗車しなければ損する。勤務先から定期券代の支給はなく、出勤日に乗車経路に応じた実費精算となると、損失はそのまま本人の持ち出しとなる。
 大多数の企業の勤務形態は従前のまま、週5〜6日の通勤勤務が基本だとしても、いつ、再び在宅勤務や自宅待機を要請されるか分からない。家計の見直しの専門家ファイナンシャルプランナーは、「出勤日数が週3日以下の場合、私鉄各線の定期券は購入しないほうが得、JRの定期券なら購入しても可」とアドバイスするだろう。
 なお、採算分岐点は路線や経路によってだいぶ変わるので、厳密には自分が乗車するルートで確認していただきたい。また、通勤手当としてカード型の定期券が現物支給される場合は損得を考える必要はない。
 もともとPASMOとSuicaは相互利用可能であり、PASMO定期券を利用しなければ、私鉄沿線在住者がモバイルSuicaを利用しても問題はない。
 今年1月21日のモバイルPASMO発表時、これまで不便といわれていたカード型PASMOを置き換える「モバイルPASMO定期券」こそ、Androidスマホの普及のきっかけになると強く思っただけに、新型コロナに関連する急激な環境変化の一部は残念だ。(BCN・嵯峨野 芙美)