パナソニックは10月30日から、野菜室を真ん中にレイアウトした513Lの大容量冷蔵庫「NR-F516MEX」を発売する。価格はオープンで税別の実勢価格は35万円前後、483Lの「NR-F486MEX」は34万円前後。真ん中野菜室は東芝がこだわっていたが、ここ数年で三菱や日立、シャープなどが展開し、いよいよパナソニックも参戦する形となった。消費者にとっては、真ん中をどっちのタイプにするか悩ましい問題だ。日立ように切り替えられるタイプもあるが、ここではパナソニックの冷蔵庫を例に、それぞれのメリットとデメリットをみていこう。

●出し入れの頻度で選ぶ


 パナソニックの調査では、真ん中にレイアウトするのは野菜室と冷凍室でニーズが拮抗している。最初から選んで購入した人と、結果的に購入した人を合算すると、野菜室派が38.7%、冷凍室派が42.5%という結果だった。
 そして、もう一つの調査では、年齢や生活スタイルの変化によってレイアウトの好みが変わることを示している。30歳以下の若い人ほど冷凍室の活用頻度は高く、逆に60代以上になると野菜室の活用頻度が増えてくる。次の買い替えニーズでも、年齢が高くなるほど、野菜室のニーズが高まる。
 同社によると、若い世代はまとめ買いをするなど大容量を重視する傾向にあるが、年配になるとこまめに買い物をして自炊する時間も増えるため、出し入れがしやすい真ん中に野菜室の配置を好む傾向にあると分析する。このように、まずは自分の家族が冷凍食品と野菜のどちらの出し入れが多いかを基準に選ぶといいだろう。

●容量と省エネで選ぶ


 次に考えておきたいのが容量と省エネ性能だ。実は冷凍室が真ん中のタイプのほうが容量は大きく、省エネ性も高いという特徴がある。冷凍室が真ん中のパナソニックの「NR-F556WPX」の定格内容量は550L、年間消費電力は266kWhであるのに対し、新製品のF516MEXは同513L、同283kWhという違いがある。
 F516MEXの容量が37Lほど小さくなってしまうのは、約6℃の野菜室の上下を製氷室や冷凍室でサンドイッチのように挟むため、断熱壁が増えるからだ。野菜室の背面には、冷却器の熱を遮断する断熱壁もある。
 もっともパナソニックの場合、コンプレッサーを下段ではなく上部のデッドスペースに配置する「トップユニット構造」を採用しているため、冷凍室も野菜室も大容量なのは押さえておきたい。
 省エネ性については、もともと12年前まで冷蔵庫市場では真ん中野菜室が主流だったが、2009年〜11年まで続いた家電エコポイント制度や東日本大震災による節電の影響で、各社の省エネ競争が過熱したことから、省エネに有利な真ん中冷凍室が増えたという事情もある。
 冷蔵庫の買い替え年数は約13年と長く、24時間稼働しているので、年間消費電力の違いは気になるポイントだろう。
 とはいえ、2011年当時の同社の501L〜550Lクラスと、真ん中冷凍室のF556WPXを比較すれば、年間消費電力量で154〜194kWhの省エネ、年間電気代は4160〜5240円もお得になる(環境省しんきゅうさん調べ)。単純に年間5000円の差として13年間使えば、6万5000円もお得なのだ。2011年モデルをさらに13年使った場合という現実的ではない試算だが、昔のモデルを使い続けるよりは買い替えたほうが家計に優しいという点は指摘しておきたい。

●新型コロナ時代の新しい使い方提案


 真ん中野菜室のF516MEXでは、野菜室の湿度を適切に保つ「モイスチャープラスフィルター」を新搭載し、野菜を約1週間新鮮に保存できる。最近は野菜の値段が高騰しているので、安いタイミングで少し多めに買って、買い物の回数を減らすというのも上手な使い方かもしれない。
 さらに、野菜室には「パラジウム保鮮フィルター」を搭載。これは野菜が発するエチレンガスを分解して野菜の老化を抑制する効果がある。キュウリやナスなどの鮮度をキープする。
 ほかにも、マイナス3℃の微凍結の「パーシャル」と、弁当づくりで粗熱をとったりするのに便利な「はやうま冷凍」の切り替えが可能な「パーシャル/はやうま冷凍 切替室」を搭載するなど新機能も充実している。
 使い方の新提案では、朝食時やサラダのドレッシングセット、お父さんの晩酌セットなど、いつも使う小物をまとめて収納できる「アレンジストッカー」が面白い。新型コロナウイルスで家族のおうち時間が増えたことによる新しい冷蔵庫の使い方を示している。(BCN・細田 立圭志)