入試直前になると、「最後の模擬試験の結果が思わしくなかった」「志望校の倍率が予想より高い」といった不安の声をよく聞きます。この時期、お子さまが自信を持って入試に臨めるよう、保護者ができることはなんでしょうか。

進研ゼミ高校受験総合情報センター長の浅野剛が、入試直前期、保護者のかたに知っておいてほしいことについてお話しします。

「偏差値が下がった」=「学力が低下した」ではない!

「入試直前の模試で偏差値が下がったのですが、志望校の難易度を下げたほうがよいのでしょうか?」
入試相談で、保護者のかたからよくこんな質問を受けます。もちろん、受験校の見直しを検討すべきケースもあります。
ただし、偏差値は受験者の中での相対的な位置づけを示すものです。「偏差値が下がった」からといって、「学力が低下した」わけではないことは、ぜひおさえておいていただきたいと思います。特に教科別の偏差値は、問題の難易度によってたやすく上下します。

たとえば、12月と1月に模試を受け、英語がどちらも100点満点だったのに、12月の偏差値は73、1月は69だったということもありえます。これは、「12月に比べ、1月は問題が易しくなったために、受験者全体の中での位置づけが変わった」ということで、「偏差値4ポイント分の学力が低下した」わけではありません。

模試の偏差値を見て「がんばっているのにちっとも成績が伸びない!」と嘆く受験生の声もよく聞きますが、周囲もがんばっているために相対的な位置が上がらないだけで、実際は学力が伸びているケースも多いのです。

「A判定」は「合格」ではない!教科・単元別の課題を入念にチェック

模試の成績表を見るときは、前回と比べて「上がったか下がったか」よりも、ここ1年の成績の変化を、おおづかみに把握することが大切です。その上で大きな変化が見られれば、お子さまと一緒に教科・単元別の分析を見ながら、冷静に原因をつかんでいただきたいと思います。

たとえば、志望校の合格判定がずっとAだったのに、数学・理科の点数急落が原因でCとなった場合。「ダメじゃない、数学も理科ももっとがんばらないと!」とお子さまを責めるのは百害あって一利なしです。「中2のときから苦手だった電流の問題が出た」「習ったばかりの三平方の定理が演習不足だった」などと、お子さまに話を聞きながら、これから注力すべき課題を整理してあげるとよいですね。

逆に、合格判定が急に良くなった場合も、がんばったことはほめてあげつつ、理由はきちんと分析すべきです。たまたま得意な単元や相性の良い形式の問題がたくさん出たためかもしれません。他の受験生は必死に勉強しているわけですから、良い判定に有頂天になって手を抜くことは危険です。模試はあくまで次の学習の指針を立てるためのものであることを、保護者のかたも忘れないようにしてください。

「倍率マジック」に踊らされない

1月〜2月になると、都道府県によっては教育委員会から「進路希望調査」結果が発表されることがあります。出願前の「進路希望者」の数字ですからズレはありますが、これによって志望校のおおよその倍率がわかります。

倍率は過年度と比較して、冷静にとらえるべきです。たとえば、例年は1.5倍だったある高校の倍率がその年だけ2倍になっていた場合、「志望校を変えるべきでしょうか」という相談をよく受けます。

たしかに、模試の成績が過去の合格者の平均的な水準よりもかなり下だった場合、倍率が高ければ自分より上位の人もたくさん受けにくるということですから、不合格になるリスクは上がります。しかし、成績が過去の合格者の平均的な水準をある程度上回っているのであれば、あまり影響はないはずです。特に公立高校の場合、倍率は年ごとに変化しても、志望者の中で中心となる学力層にはさほど大きな変化がないためです。

一方で、ボーダーライン付近の学力層は定員の増減や受験生の志望動向によって変化します。よく合格最低点(基準点)は何点ですか?というご質問をいただきますが、昨年の合格最低点を取れば合格できるという保証はなく、最低点を目標にするのは危険です。

受験生は「高倍率=合格できない」と錯覚しがちですが、倍率は電車の乗車率と同様、「混み具合」を示した数値です。大切なのは受験生本人の得点力です。

子どもの不安解消のために、保護者ができること

模試の成績が思わしくなかった場合、保護者はつい「悪かったこと」から指摘しがちですが、受験生本人は指摘される以前からそれを気にし、落ち込んでいることが多いものです。
模試の成績表の中にも、お子さまの努力が見える部分が必ずあるはずなので、まずはそこを見つけてしっかりほめてあげてください。「社会、いつも強いよね」「数学、苦手なのにがんばったんだね。その調子で勉強すればきっと良くなるよ」というふうに。

ちなみに、これまで受験相談を受けてきた経験で言えば、どうも男の子のほうが「打たれ弱い」傾向があるようです。「親にほめられると素直に嬉しい」という声も男子からよく聞きますが、それをうまく態度で表せないため、よけいに親子間の雰囲気がこじれてしまうケースも多いのです。
保護者のかたはぜひ「がんばっているね」「応援しているよ」という気持ちを、折にふれて伝えてあげてください。たとえ期待通りの反応が返ってこなくても、お子さまにはきっと伝わっているはずです。

また、男子・女子を問わず、さりげなく勉強の様子を聞いてあげるのもよいと思います。「昨日は遅くまで起きてたみたいだけど、何をやってたの?」「ふーん、過去問やってたんだ。頑張っているね」というような、たわいもない会話でよいのです。勉強の内容をチェックするのではなく、あくまでお子さまが今努力していることを承認するだけ。「自分はお父さん、お母さんに信頼されている」「一人じゃない」と感じられれば、受験への不安も和らぐのではないでしょうか。

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