北京オリンピック競泳メダリストで、現在はスポーツキャスターとして活躍中の宮下純一さんが水泳を始めたのは幼稚園児のころだと言います。水が苦手で嫌々通い始めたスイミングスクールで頭角を現しオリンピックへの出場を果たした宮下さんが、スポーツや大切な場面でプレッシャーと向き合う方法を伝授。また、1児の父として子育てについての話も伺いました。

プレッシャーとうまく付き合うには、自分を褒められる小さな目標を設定すること

僕はプレッシャーを感じないと楽しくない、小さい大会より大きな大会のほうがやる気が出るタイプなのですが、スポーツをやっているお子さまや目標に向かってがんばっているお子さまの中には、大事な場面でプレッシャーを乗り越えていく場面がこれから何回も出てくることと思います。

自分なりにプレッシャーと戦う方法はいくつかありますが、大きな目標と小さな目標をたくさんをつくっておくのがおすすめです。金メダルや優勝という大きな目標は大事ですが、それを叶えるのはなかなか難しいですし、「金メダルじゃなきゃダメだ」と思ってしまっては窮屈です。

ですから「金じゃないけどメダルは取れたからよかった」「表彰台に乗れたからよかった」「表彰台には乗れなかったけど、スタートの反応は自分が一番よかった」など、自分で自分を褒められるところを見つけられるとよいと思います。それには、ただ漠然と取り組んでいてはダメなので、自然と考えながら臨むようになっていきます。

僕自身は、自分が納得しないと先に進めないタイプで、コーチから与えられた練習メニューも、「なんでこのトレーニングをやるんですか?」と、いちいち「なんで?」と理由を聞いていました。「なんで?」を考えて自分が納得したうえで取り組むことが、結果を出すことにつながったのではないかと思っています。

育児でも「受け入れて納得させる」ことの大切を実感

私生活では、僕は1児の父親でもあり、娘は現在2歳8か月です。娘もちょうど何に対しても「なんでなんで?」と聞いてくる年頃で、「お茶を飲みなさい」と言えば「なんで?」、「遠いから自転車で行こう」と言うと「なんで?」の繰り返し。あまりの数の「なんで?」に戸惑いながらも丁寧に理由を説明したり、逆に「なんでだと思う?」と聞き返したりしながら過ごしています。

僕が人に教えられることは水泳しかないので、我が子にも水泳はやってほしいですが無理強いは考えていません。でも、同じアスリートであるスケート選手のお子さまが我が子と同じくらいの年齢なのにスケートリンクに立っているのを見た時は驚きとともに焦りも感じましたね。「うちの子はまだ地上に立つのでさえフラフラしているのに!」と(笑)。

ただ、育児に関しては僕自身は我が子を他の子と比べて……ということはあまりなくて、《自分対娘》として向き合っているつもりです。食事一つ取っても「嫌って言ったあとでも1回休憩すると食べるんだ」とか「要求してきたお菓子を一口食べたらそのあとにご飯も食べるんだ」とか、やっぱりその子なりに考えていることを一度受け入れて納得させることが大事なんだな、とわかってきました。

パパ友同士の情報交換はあまりありませんが、育児グッズや便利な家電製品など友人が使っているのを見て「いいな」と思ったものは取り入れています。たとえば、鼻水吸引器も、実物を見るまでは「機械でやるのは嫌だ」と思っていたのですが、いざ使ってみるとすごく便利! また、保育園に通っていると洗濯物がたくさん出るのですが、ドラム式洗濯乾燥機を取り入れたらめちゃくちゃ楽で「なんで今まで使わなかったんだ……!」と後悔。

水泳の練習メニューは、時として人に教えたくないような秘密のメニューもありますが、育児は勝負ではないので(笑)、便利グッズは世の中のパパにもたくさん知ってほしいですね。

プロフィール

宮下純一

宮下純一

スポーツキャスター / 北京オリンピック競泳メダリスト
鹿児島県出身。5歳から水泳を始め、9歳の時コーチの勧めにより背泳ぎの選手となる。鹿児島県立甲南高等学校から筑波大学に進学、体育専門学群で学び、中高教員免許を取得。2008年8月北京オリンピック競泳男子100メートル背泳ぎ準決勝で53.69秒のアジア・日本新記録を樹立、決勝8位入賞。同400メートルメドレーリレーでは日本チームの第1泳者として、銅メダルを獲得。2008年10月、競技者として有終の美と感じられる結果に現役を引退。現在は、水泳・スポーツの美と感動、アスリートという人間の心のドラマやストーリーを伝えられるスポーツキャスターとして幅広く活動。(財)日本水泳連盟競泳委員として選手指導・育成にも携わっている。

月曜 隔週 レギュラーにて出演中
・文化放送「なな→きゅう」7:00〜9:00
・TBS「ひるおび!」11:55〜14:00