殺人の罪などで10年間服役した鹿児島県の原口アヤ子さん(93)が再審無罪をめざしている「大崎事件」のクラウドファンディング(CF)がこのほど、およそ3カ月で約1240万円の支援を獲得して募集を終えた。期限を区切ったものとしては、裁判関係で過去最大だという。

プロジェクトを立ちあげたのは、「再審法改正をめざす市民の会」共同代表で映画監督の周防正行さん。6月29日の記者会見で、次のように意義を語った。

「アヤ子さんの孤独な戦いからスタートして、支援者がコツコツと続けて来られた。CFも含めて、多くの人に開かれた、見守ってもらえる戦いになった」

同CFは「READYFOR」で3月24日にスタート。6月16日までに805人の支援者を集めた。都市部の20〜40代からの支援が多かったという。

弁護団メンバーで、2018年3月に日本で初めて裁判費用のCFを立ちあげたこともある亀石倫子弁護士は次のように分析した。

「リアルの支援者は高齢の方が多いが、大都市圏の若い世代に認知してもらえた。特別な思いを持っている(大口寄付の)人より、初めて知って、何かできないかと、小口の支援をしてくれた人が多かった」

期間中にオンラインのトークイベントなどを実施したことも、事件への理解や支援につながったという。

●再審開始決定、3度も覆される

大崎事件は、1979年に鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった事件。殺人として扱われてきたが、原口さんは一貫して否認。服役後、裁判のやり直しを求めてきた。

これまで、裁判所が3回も再審開始を認める決定を出しているが、検察の抗告で覆されてきた。

第3次再審請求では、地裁・高裁の再審開始決定を最高裁が史上初めて取り消している(2019年6月)。検察の特別抗告を「理由がない」と退けつつ、職権による調査で「破棄自判」したものだ。

2020年にも、殺人であることを否定する医学鑑定などを新証拠として、第4次の再審請求をおこなっている。「事故なのに警察が見立てを誤った」(佐藤博史弁護士)と考えているという。

CFの成功について、弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士は、「800人からの1240万円が何を意味しているのか。最高裁とどちらが正義なのか、社会が答えを出してくれている」と力を込めた。

集まった支援金は、裁判費用のほか、再審制度の改正をめざす活動にも活用するという。